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第二章

40:あんた、ヤバいの使ったんじゃないだろうな!

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「ちょっと!俺の話を聞いてんのかよ?」
と怒鳴りかけたバットゥータも流石に黙った。
 名無しは寝台横の床にひざまづくと、今度は持ってきた小瓶の蓋を開けながら、今度は『いい?』と聞いてきた。
 慣れた手付きだ。
 前回も同じことをしたに違いない。
 そして、翌日、アドリーはすっきり目覚めた。
「ああ」
 渋々頷くと、アドリーの身体を包む毛布をはぐ。
 手のひらの香油をたっぷりつけて、まるで、アドリーの性器をそこに浸すようにして揉み込んでいく。
 身体が大きいので、手もかなりのものだ。
 指の太さだって、華奢な女の指の二倍はありそう。
 その指が、アドリーの尻の窄まりへと侵入していく。
 指の節も太いので、侵入はそこで止まってしまった。
「おいっ、さすがにやり過ぎ……」
 言いかけたそのとき、名無しが、アドリーの耳元に唇を埋めた。
 雨音、それに激しい雷でよく聞こえないが、
 ---歌っている?
 いや、お前、声が出ないはずなんじゃ?
 名無しがアドリーの耳から顔を離すと、アドリーは微笑んでいた。
 その笑みは、本当に自然なもので。
 長く一緒にいるバットゥータでさえ初めて見る顔だった。
 そうこうしているうちに、アドリーの尻の方は名無しの指を受け入れ始めた。
 根本まで受けれても、眉間にシワが寄らないので苦しくないようだ。
 こねるようにしてアドリーの穴を広げ始めた名無しは、また身体を折ってアドリーの耳に口元を寄せる。
 すると二本目の指がするりと入っていって、三本目もそこまで時間がかからなかった。
 バットゥータがどんなに丁寧にやっても、身体の芯はゆるまない。
 指だっていつも二本できつきつだ。
 なのに、今は、名無しの太い指、それも四本目を飲み込んでいる。
「嘘だろ」
 ドンッ、ドンッ。
 扉が叩かれる音がして、アドリーの尻に埋め込まれていた名無しの四本の指がゆっくり引き抜かれた。
 時間切れのようだ。
 すると、名無しが服を脱ぐように身振り手振りで言ってくる。
「あんたが帰ってからな」
と答えると、名無しの手は一旦は紙に向かったが、叩かれる扉の音がさらに大きくなったのに焦ったのか、バットゥータの服をさっとたくし上げた。
「おい、ちょっと」
 俺の尻穴まで狙うなと焦っていると、名無しは再び手のひらに香油を付け、今度はそれをバットゥータの性器へと滑らす。
 双球から竿の付け根、先端までを絶妙な強さで名無しの手が移動していく。
 そう時間をおかず、ジンジンとした刺激もやってきた。
 勃ちすぎて痛い。
 膝を抱えて座り込んでしまいたい。
「あんた、ヤバいの使ったんじゃないだろうな!」
と叫ぶと、扉も苛立ったように叩かれる。
 名無しは一度そちらの方向を確認すると、濡れた香油まみれの手を自分の服の裾で拭きつつ、アドリーの側に近寄ってまた耳元に唇を落とす。
 今回は一瞬だった。
 まるで、別れを告げているかのような。
 そして、テーブルに戻ると、鉛の塊を掴んで、
『今までで一番ゆっくり、腰を進めて』
と素早く書いて、紙と鉛を机に投げ出すようにして急いで部屋を出ていった。
「おい、ちょっと?!」
 追いかけようにも、全裸で寝乱れているアドリーを残してはいけない。
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