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第一章

6:十三、四ならばもっと熟れていてもいいはずなのだが。

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 張り型より大きい。
 圧迫感なんてもんじゃない。
 身体が二つに分かれそうな感覚だ。
 スルタンがゆっくりと、覆いかぶさってきた。
 スルタンの顔が眼前にあって、唇が重なりそうになった。
 でもそれはふいっとそれて、額に落とされる。
「こっちは、いい人が出来たらするがいい」
 ---いい人?
 それは、こういう事をする人を指すのではないの?
 じゃあ、僕はスルタンにとって何?
 優しくされて気持ちが重なった気がしたのは僕だけ?
 ……じゃあ、僕は喋って反応するだけの道具みたいなもの?
 挿入されている衝撃が一瞬薄まり、代わりにジクッと心が痛くなる。
「軽く動かすぞ。息を詰めるな。そっちの方が辛くなる」
 呼吸することを意識すると、少し楽になった。香油ですれるグチュグチュという音や、生々しい体温が伝わってくる。
 心の痛みはやがて、帯び始めた快楽に流されていった。
 暫く腰を動かしていたスルタンだったが、
「ふむ。きついだけの子供の身体だな」
という喜ばしくない感想を述べた。
 どうやら、引っかかることがあるらしい。
 妙だという表情をしている。
「十三、四ならばもっと熟れていてもいいはずなのだが。どうした?怪訝な顔をして?まさか、末の息子より下とか言わないだろうな?」
 スルタンには王子だけで、二十人いると聞いている。
 だが、ほとんどが地方を守る太守として赴任していて、新宮殿にいるのは今、話題に出た末の一名のみ。
 僕は思い出す。
 お披露目会にやってきた末の王子の物凄い冷ややかな目つきを。
 小鳥らと年齢が近いので、彼と仲良くなる使命を僕らは課されていた。
 スルタンからお召かかかるより可能性が高いからだ。
 でもどんなに人気の小鳥が流し目しても甘い声で歌っても、彼は僕らに最後まで興味の欠片すら持たなかった。
「僕、九才です」
 スルタンが、参ったなというように顔をしかめた。
「末のより二歳も年下じゃないか。異国の子供は、ずいぶん大人びているなあ。ああ、思い出した。小鳥になると、身体が大きくなりやすいそうだな。だからか。子種を作る能力を失った分、成長に回るのだろうな」
 何度か、スルタンの雄で内部をこすられた。
 身体に杭を打ち込まれるような感覚だと聞かされていたが、そんなもんじゃない。
 寝台に両手足どころか、首も胴体も全部、重石をつけられて拘束され、身体を二つに裂かれているようだ。
「どうだ?」
「きついっ、です。あと、なんか、痒いっ」
「ふふ、そうか。媚び方も知らないか。そら、これでどうだ?」
 ジンジンとする内部を、スルタンの性器がこすって沈めてくれる。
 もっとして欲しいなんて余裕は無かった。
 一生小鳥でいるために男の象徴を切り取られて絶えず沈んだ気分なのに、自分には無いもので身体を開かれるなんて。
 スルタンが体重をかけてきて、雄が張り型でも感じたことのない奥まで到達する。
 それがおそろくて暴れそうになると、両手首を押さえつけられた。
 スルタンが少し激しく腰を揺らす。彼の肌がうっすらと汗をかき始めたのが押し付けられる肌で分かった。
 終わりは唐突だった。
「もう寝たい。出すぞ」
 スルタンの声と共に内部が熱くなる。
 精を放たれたのだとすぐに気づいたが、それが衝撃的すぎて、すぐに頭が真っ白になった。
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