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第一章

5:今から私のを入れるぞ

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 人前で大きい方の粗相をさせられるような感覚だ。
 しかも、命令されて。
 でも、どういうわけか、身体全体が淡く痺れた。
 張り型の最初の凸凹が外に出たのが分かる。
「あ……ああっ」
 勝手に声も漏れる。
「嬌声も歌うようだと聞いていたが、普通の子供の声だな。まあ、いい。もうちょっと頑張れ」
 尻穴から少し出た張り型の先端を捕まれ、ゆっくりと引き抜かれた。
「いきんで、いきんで。上手だ」
 中心部が一番膨らんでいる張り型は、入れるときは苦しいだけだった。
 抜く今になってかすかな快感がやってくる。
 太い中深部が抜けると、細い先端に合わせるように尻穴が縮み始めたのが分かる。
 それが気持ちがいい。
 空洞になった尻穴は、きゅう、きゅうっと勝手に収縮を始め、変な感覚に僕は戸惑う。
 ろうそくの側にあった螺鈿の小さな入れ物を開いて内部をすくったスルタンは、それを自身の雄と指へ。
 春の花のようないい香りがする。香油のようだ。
「私のを入れる前に、指を入れていくぞ。そら、一本」
 僕の内部に大人の指が入り込んできた。
 無遠慮では無いが、伺いがちでもない。
 迷いなく入ってきて、閉じようとする窄まりをこねるようにして広げていく。
 香油には何か混ざっているのか、ジンジンし始めた。
「あっ」だの、「んん」だの声が漏れ始めて、僕は自分の口を塞いだ。
「どうだ?」
とスルタンが僕の足の間から顔を上げ、聞いてくる。
「ど、どうって?分かりません」
 必死に答える僕の姿が、スルタンの目には面白く映ったようだ。
「はは。分からないか。予想外の答えだ。なら、二本目をくれてやろう。ああ、上手だ」
 さらには、そう時間をおかず三本目も。
 変な感覚だ。
 自分の内部で他人の指が蠢いているのは。
 あ……。今、気づいた。
 天にも昇る心地です、みたいな答えがきっと正解だったんだ。
「あの……」
「ん?」
「き、気持ちがよくて、天にも昇る……」
 すると、スルタンが、クククッと喉を鳴らす。
「おべっかが下手すぎて記憶に残るなあ、この小鳥は」
 そこからさらに少し笑っていたから、相当面白かったようだ。 
「事前準備だけはたっぷりされている。だから、この辺でいいだろう」
 指を引き抜いたスルタンが、僕の足をこれでもかと広げて、覆いかぶさってきた。
「今から私のを入れるぞ」
「……ん、んぐ」
「泣くのを我慢しているのか?天にも昇るなんとやらというセリフを言うなら、いまこの瞬間だぞ?」
 目尻に涙が溜まっていたようで、スルタンがそれを拭ってくれた。
「最初だから圧迫感はあるだろうが、ここまで準備をしているのだから、死にやしない。男だろ、覚悟を決めろ」
 この人は、僕をちゃんと男だと思っているんだ。
 肝心な部分が切り取られていてもちゃんと。
 僕は、急に心が緩んだ。すると、身体からも強張りが抜けていく気がした。
「はい」
 目を見つめて返事をすると、
「いい子だ」
と髪を撫でられた。
 その最中、スルタンが自身の雄を僕の尻穴に当ててくる。
 熱くて硬い先端が中に潜り込んできて、内部を押し広げていく。
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