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第二章
14:攻められるのが苦手なら、俺が受け身になってやろうか?
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すると、ジンは車を動かし側までやってきて、開けたままの助手席の窓に向かって言う。
「素直に受けとらねえだろうし。いつか、居なくなるだろうし。でも、こんなに早いとは思わなかったけど」
「だから、迷惑だろうと思って」
「責任感じてるなら」
助手席の窓が開けられ、ジンが座席に置かれていた籠の取っ手を持った。
「これ、片付けていって。朝飯兼昼飯にするから。鹿肉とイノシシ肉を真空パックしたのとを近所の奴に交換してもらった」
「自分で食べればいいじゃないか。何で、僕にまで?」
「僕にまで、じゃなくて、あんた用にわざわざ手に入れてきたの。ロクに食べてないみたいだから、美味いものでも食べりゃあ、野良猫みたいに尖ったその神経も落ち着くかと思って。なのに、出て行くって、そりゃないぜ」
「そのために家を空けてたなんて今知った。服や荷物が乾かされてたから、出て行けって意味かと思って」
「俺、一言でもそんなこと言ったか?」
「いいえ」
昨夜言われたのは、夜中に出ていくな、朝になっても出て行きたければ、ダウンジャケットを着ていけ、だ。
「何で、いきなり、敬語?」
ジンがふっと笑う。
「誤解が解けたんなら、乗れよ。この籠、抱っこしといて。落ちそうでヒヤヒヤすんだ。あと、その物騒なのは、荷台に戻して」
「こ、これ使って死なないって。いつまでも荷台に残されたら、ジンが不愉快だろうなって」
「俺は、あんたがそんなの持ち歩いている方が嫌だ」
腹と籠の間に挟んでいた紙袋は取っ手が取れ、紙も破け、セロファンで包まれたロープがむき出しの状態だった。ジンはそれを運転席の窓を開けて、荷台へと放りこんだ。
ガンッと昨夜と同じ激しい音がする。
車が動き出し、ほぼ無言で家についた。
道中の会話と言えば、
「野良猫なんて言い方して悪かった。ここら辺にはペット業者が捨てに来たりするからそれを思い出しただけ」
「別に、気にしてない」
だけ。
また、ここに戻ってくるとは。
車を降りた彼方は、家を正面から眺めた。
ジンに続いて家の中に入る。
キッチンカウンターに向かうジンに、彼方は籠を差し出した。
ダウンジャケットを脱いで、玄関にかけてから、今度はズボンのポケットから封筒を取り出してジンに渡す。
「それは、あんたにやったもんだ」
「こんなに貰えない。昨日みたいなのが精一杯だし」
ジンは、キッチンに、卵や、ベーコン、牛乳、はちみつなどを並べていく。バターの塊もあった。
「ふん。そんなに俺とはしたくないってわけね」
「そうじゃなくて。頑張るつもりだけど、ジンが物足りないだろうから、お金を貰っちゃうとそれがプレッシャー」
「へえ。やる気はそれなりにはあるんだ?なら、今夜、どうしようか?この流れでいったら、繰り返しになると思うんだけど。俺があんたに迫って。あんたはぶるぶる震えて」
それは簡単に想像がついた。
「やる気は……あるよ。ちゃんとある」
「その意気込み。戦地にでも行く気か?じゃあ、あんたがベットで心地よくなれることってを教えてくれよ。そこから始めりゃあ、少しはあんたも楽しめるかもしれない」
「僕はいいんだって。それに……ベットでって」
彼方が赤面している最中、ジンはボウルに卵を割って牛乳やオイルを混ぜて生地を作っていく。
「攻められるのが苦手なら、俺が受け身になってやろうか?一気に進めないなら、あんたができるとこまで。ちょっとずつでも成長する気があるなら、何日でもここに居てくれていい」
「素直に受けとらねえだろうし。いつか、居なくなるだろうし。でも、こんなに早いとは思わなかったけど」
「だから、迷惑だろうと思って」
「責任感じてるなら」
助手席の窓が開けられ、ジンが座席に置かれていた籠の取っ手を持った。
「これ、片付けていって。朝飯兼昼飯にするから。鹿肉とイノシシ肉を真空パックしたのとを近所の奴に交換してもらった」
「自分で食べればいいじゃないか。何で、僕にまで?」
「僕にまで、じゃなくて、あんた用にわざわざ手に入れてきたの。ロクに食べてないみたいだから、美味いものでも食べりゃあ、野良猫みたいに尖ったその神経も落ち着くかと思って。なのに、出て行くって、そりゃないぜ」
「そのために家を空けてたなんて今知った。服や荷物が乾かされてたから、出て行けって意味かと思って」
「俺、一言でもそんなこと言ったか?」
「いいえ」
昨夜言われたのは、夜中に出ていくな、朝になっても出て行きたければ、ダウンジャケットを着ていけ、だ。
「何で、いきなり、敬語?」
ジンがふっと笑う。
「誤解が解けたんなら、乗れよ。この籠、抱っこしといて。落ちそうでヒヤヒヤすんだ。あと、その物騒なのは、荷台に戻して」
「こ、これ使って死なないって。いつまでも荷台に残されたら、ジンが不愉快だろうなって」
「俺は、あんたがそんなの持ち歩いている方が嫌だ」
腹と籠の間に挟んでいた紙袋は取っ手が取れ、紙も破け、セロファンで包まれたロープがむき出しの状態だった。ジンはそれを運転席の窓を開けて、荷台へと放りこんだ。
ガンッと昨夜と同じ激しい音がする。
車が動き出し、ほぼ無言で家についた。
道中の会話と言えば、
「野良猫なんて言い方して悪かった。ここら辺にはペット業者が捨てに来たりするからそれを思い出しただけ」
「別に、気にしてない」
だけ。
また、ここに戻ってくるとは。
車を降りた彼方は、家を正面から眺めた。
ジンに続いて家の中に入る。
キッチンカウンターに向かうジンに、彼方は籠を差し出した。
ダウンジャケットを脱いで、玄関にかけてから、今度はズボンのポケットから封筒を取り出してジンに渡す。
「それは、あんたにやったもんだ」
「こんなに貰えない。昨日みたいなのが精一杯だし」
ジンは、キッチンに、卵や、ベーコン、牛乳、はちみつなどを並べていく。バターの塊もあった。
「ふん。そんなに俺とはしたくないってわけね」
「そうじゃなくて。頑張るつもりだけど、ジンが物足りないだろうから、お金を貰っちゃうとそれがプレッシャー」
「へえ。やる気はそれなりにはあるんだ?なら、今夜、どうしようか?この流れでいったら、繰り返しになると思うんだけど。俺があんたに迫って。あんたはぶるぶる震えて」
それは簡単に想像がついた。
「やる気は……あるよ。ちゃんとある」
「その意気込み。戦地にでも行く気か?じゃあ、あんたがベットで心地よくなれることってを教えてくれよ。そこから始めりゃあ、少しはあんたも楽しめるかもしれない」
「僕はいいんだって。それに……ベットでって」
彼方が赤面している最中、ジンはボウルに卵を割って牛乳やオイルを混ぜて生地を作っていく。
「攻められるのが苦手なら、俺が受け身になってやろうか?一気に進めないなら、あんたができるとこまで。ちょっとずつでも成長する気があるなら、何日でもここに居てくれていい」
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