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第七章
151.ボクらを裏切ったらただじゃおかないからなって忠告してやっているだけだ
しおりを挟む「って、ことは鎌か」
「落ち着け」
「十二分に落ち着いている。じいちゃんを殺したのは、ロレンツォ公じゃないって言えるほどには」
「ほう」
とレオは低い声。
「サライ。なぜ、そう思える?」
「ロレンツォ公は、バーントの死神であることをずっと息子に隠してきた。そして、息子は殺人道具が何であるか分かる目を持っていた。ロレンツォ公が慎重な性格だとしら、鎌なんて使わないはず。ってことは悪意ある人物の偽装だろ。アンジェロとロレンツォ公の仲を決定的に引裂くための」
「続けろ」
「いばるんじゃねえよ、元師匠が。いいか。平剣使いのユディトが消え、鎌を武器として使うロレンツォ公はそもそも犯人として論外。ってなると、これはアンジェロとロレンツォ公の仲を引き裂きたい人物による典型的な揺さぶりだ。だったら、ボクのムンディの目を傷つけたのも、じいちゃんを殺したのも鳥の巣頭じゃないかって話」
「知らん」
「当たりか」
「だから、知らんと」
レオが軽く声を荒げると、「はいはい。ボクは最後のサライの推理は外れていると思う」
と話に加わってくる。
「鳥の巣頭はかなりの目立ちたがり屋だ。やらかしたら、ロレンツォ公にヨシヨシして欲しくて出張ってくる。絶対にまだ登場していない人物がいる」
「もういいヨハネ。そこまでにしろ」
「あとは、元師匠のオレがやるって?信じるなよ、サライ」
「お前は仲間割れさせたいのか?」
と睨んでくるレオにヨハネは、
「いいや。ボクらを裏切ったらただじゃおかないからなって忠告してやっているだけだ」
と冷たく言い放つ。
「頼む。仲違いはじいちゃんの首が戻ってから、あんたたちだけでやってくれ」
サライがぼやいているうちに、レオがさっさと部屋を出ていく。
一時感じた連帯感は、儚く蒸発。
「アホくさ。あんな奴と」
サライはアンジェロの部屋に向かった。
勉強机を眺める。
「充電器しか無い。今回、携帯は持って出ていったようだな」
アンジェロの携帯番号をパソコンに打ち込む。
だいたいの居場所はすぐに出てきた。
「ん?レプブリカ広場って場所にいるな。ここからそう遠くない」
廊下までレオを追いかけて行って、「な、マエストロ!さっきの言葉、心に刻み込んでおけよ!!」と叫んだヨハネがサライの元に戻ってくる。
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