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第七章
151:だからって毎週、ラブマ神の掃除にオレを付き合わすな
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「どこで付けたの、この筋肉?」
「翠雨さんの銭湯で清掃のバイト。あと、御神地の収穫でも足腰使うから」
「たった、三ヶ月でも身体ってこんなに変わってくるんだねえ」
上下に擦られ、
「あんま、刺激しねえで」
と尚は腰を引いた。
「ねえ、本当に出来ないの?」
「射精のこと?そんなの嘘ついてどうすんだよ。また手助けしてくれんの?」
「尚なら、いい相手は見つかる」
時雨が側から離れていく。
だから、その肩を強引に掴んだ。
「あんたはいつもそうやって中途半端に近づいてきて、去っていく。俺の存在って、芙蓉さんと同じだな。でも、俺は死んだ身だけれど、存在はきちんとあるっ!!」
「何を言っているの?」
尚は布団を跳ね上げコタツの方を指さした。
「皿のことだよ!仏壇に飾ってたぐらいだったのに、今じゃ直しもせずに埃をかぶっている。俺も同じで飽きたってことだろっ?」
時雨の弁明を待たず、尚は家を飛び出した。
「だからって毎週、ラブマ神の掃除にオレを付き合わすな」
季節が冬から春へと巡った。
神様学校は七月には終わるので、卒業ももう間近だ。
進路は相変わらず決まっていない。
見習い神様には慕われているが、同じぐらいの見た目の神様たちとは一向に仲良くなれない。
神生は一歩進んで、十歩後退しているような感じだ。
今日は週一回の時雨の家に掃除に行く日だ。
「ごめんて、翠雨さん。でも、心配だし」
「だったら、少しは会話しろよ」
「それは嫌なんです」
「はあ。お前ら、本当に意地っ張りだよなあ。でも、悪尚の方から折れておけって。それで丸く収まるんだから」
「収まらないよ!俺に合った相手を紹介するとか、見当違いなおせっかいが始まるに決まっている」
「うわあ。こじれてんなあ」
「だから、話をしないのが一番いい」
「お前ら見ていると切ない」
「氷雨さんらは進展した?」
「あー……。まあな」
顔を真っ赤にしてうつむきながら、翠雨が襟足をかきあげた。
一箇所、ぽつんと赤黒くなっている。
「ぶつけた?え?違う。あ!そういうこと」
「あいつ、いきなりやりがって」
「そこまで痕が残るって随分激しかったんだね」
のしかかる氷雨と、その下で身体をのけぞらせて喘ぐ翠雨が目に浮かぶ。
「エッロ」
「茶化すなっ」
「いいなあ、そういう執着。所有の印だ。俺なんて飽きられているのに、離れられなくてストーカーみたい」
手に持っていたビニール袋を振り回すとガシャガシャと鳴る。
「何持ってきたんだ、ラブマ神の家から」
尚は袋を開いて中身を見せた。
「芙蓉の皿か」
「組み立てる気はあるみたいだけど、一向に取り掛かる様子が無いから黙って持ってきた。だぶん、無くなったこともしばらく気が付かないと思う」
「あいつ、魂抜けちゃってるからなあ。携帯でいうと充電池パックまでぶっ壊れた状態までいっていたってわけだ」
「いつ直るのやら。ああ、時雨さんにいい相手が見つかったときか」
「翠雨さんの銭湯で清掃のバイト。あと、御神地の収穫でも足腰使うから」
「たった、三ヶ月でも身体ってこんなに変わってくるんだねえ」
上下に擦られ、
「あんま、刺激しねえで」
と尚は腰を引いた。
「ねえ、本当に出来ないの?」
「射精のこと?そんなの嘘ついてどうすんだよ。また手助けしてくれんの?」
「尚なら、いい相手は見つかる」
時雨が側から離れていく。
だから、その肩を強引に掴んだ。
「あんたはいつもそうやって中途半端に近づいてきて、去っていく。俺の存在って、芙蓉さんと同じだな。でも、俺は死んだ身だけれど、存在はきちんとあるっ!!」
「何を言っているの?」
尚は布団を跳ね上げコタツの方を指さした。
「皿のことだよ!仏壇に飾ってたぐらいだったのに、今じゃ直しもせずに埃をかぶっている。俺も同じで飽きたってことだろっ?」
時雨の弁明を待たず、尚は家を飛び出した。
「だからって毎週、ラブマ神の掃除にオレを付き合わすな」
季節が冬から春へと巡った。
神様学校は七月には終わるので、卒業ももう間近だ。
進路は相変わらず決まっていない。
見習い神様には慕われているが、同じぐらいの見た目の神様たちとは一向に仲良くなれない。
神生は一歩進んで、十歩後退しているような感じだ。
今日は週一回の時雨の家に掃除に行く日だ。
「ごめんて、翠雨さん。でも、心配だし」
「だったら、少しは会話しろよ」
「それは嫌なんです」
「はあ。お前ら、本当に意地っ張りだよなあ。でも、悪尚の方から折れておけって。それで丸く収まるんだから」
「収まらないよ!俺に合った相手を紹介するとか、見当違いなおせっかいが始まるに決まっている」
「うわあ。こじれてんなあ」
「だから、話をしないのが一番いい」
「お前ら見ていると切ない」
「氷雨さんらは進展した?」
「あー……。まあな」
顔を真っ赤にしてうつむきながら、翠雨が襟足をかきあげた。
一箇所、ぽつんと赤黒くなっている。
「ぶつけた?え?違う。あ!そういうこと」
「あいつ、いきなりやりがって」
「そこまで痕が残るって随分激しかったんだね」
のしかかる氷雨と、その下で身体をのけぞらせて喘ぐ翠雨が目に浮かぶ。
「エッロ」
「茶化すなっ」
「いいなあ、そういう執着。所有の印だ。俺なんて飽きられているのに、離れられなくてストーカーみたい」
手に持っていたビニール袋を振り回すとガシャガシャと鳴る。
「何持ってきたんだ、ラブマ神の家から」
尚は袋を開いて中身を見せた。
「芙蓉の皿か」
「組み立てる気はあるみたいだけど、一向に取り掛かる様子が無いから黙って持ってきた。だぶん、無くなったこともしばらく気が付かないと思う」
「あいつ、魂抜けちゃってるからなあ。携帯でいうと充電池パックまでぶっ壊れた状態までいっていたってわけだ」
「いつ直るのやら。ああ、時雨さんにいい相手が見つかったときか」
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