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第五章
88:口説き文句としては最強だけど、ほら
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一方的にメッセージを送り、やり取りを終えた。
『尚?急いで行くってば』
『機嫌直して』
『返事して』
連投で時雨からメッセージが届いたが、尚は返信しなかった。
諦めたのか、時雨からのメッセージ攻撃が止む。
イヤホンを耳に入れ、最初に届いた動画を再生する。
『証拠残すからね。録るからね。覚えてなさそうで不安しか無い』
『なんで?絶対に覚えているよ?俺に関わってくれるなんて、本物の神様みたいだ』
『う、うーん。みたいだって、ものの見事にそうなんだけど』
『人肌、すごい』
『猫みたいにまとわりついてきて、可愛いね』
恥ずかしくなって一旦尚は動画を止める。
下半身がきつくなって、部屋の電気を消し、毛布をかぶる。
そして、寝巻きだけでなく下着まで下ろした。
ものすごい背徳感に包まれていた。
母親に隠れてオナニーしようとした夜よりももっと強烈なものだ。
また動画を再生する。
今度は最後に届いた動画を。
『ん、んんん。ぷはっ』
『息してね?』
『だってさ、気持ちよすぎてそれすら忘れる』
『口説き文句としては最強だけど、ほら』
『あっ。舌』
『そうだね。舌だね。絡み合っている』
クチュ、クチュっと音を携帯の録音アプリが積極的に拾う。
『俺、本当に、キス、初めてで』
喘ぎながら尚が伝えていた。
『知ってる。下手っぴだもんね。でも、その初々しさがいいな』
『またして……ください』
『うーん。そうしたら、キスだけじゃすまないと思うよ?』
『んっ』
『あれ、想像しただけで気持ちよくなった?』
尚はまた動画を止めた。
耳が犯されたような気分だ。
「小っ恥ずかしくて、もう、聞いてられねえっ」
性器はすっかり固くなっていて、触れると先端を濡らしていた。
数日前の醜態が、卑猥に蘇ってくる。
時雨は、股を開いて罰に怯えた自分をどんな思いで見たのだろう。
可哀想そうだと思っただろうか。
それとも、別の感想を持っただろうか。
動画を再開し、時雨に見られた夜のことを脳裏に思い浮かべる。
股を開くという怖い経験は、別のものに書き換わりつつある。
彼ならそこを労って守ってくれるというような絶対の安心感があるから、想像の世界に登場させられる。
手につばを付けて、身体を丸めて、性器を握り込む。
激しくこすっても優しくこすっても、終わりはやって来ず、苦しいだけの時間が続いた。
先端にきっちり蓋をされたかのように、最後のほとばしりはやって来ない。
実は尚は、救世教団でのオナニー禁止を破った罰を受けたせいで夢精したことはあっても、今まで一度も射精したことが無いのだ
「出来ると思ったんだけどなあ」
尚は諦めベットから出た。
初めて想像の中に自分以外の人物を登場させてみたが、無理だった。
想像の時雨ですら出来ないのだから、さっさと諦めた方がよさそうだ。
「今更、センチメンタルに浸ってどうするって話だ」
洗面所で手を洗い、尚はそのまま外に出ようと居間に向かった。
真向かいは翠雨と氷雨の部屋で、扉は閉められていなかった。
彼らは電気を消した状態でベットに腰掛け、透明な天幕部分から見える星を眺めていた。
『尚?急いで行くってば』
『機嫌直して』
『返事して』
連投で時雨からメッセージが届いたが、尚は返信しなかった。
諦めたのか、時雨からのメッセージ攻撃が止む。
イヤホンを耳に入れ、最初に届いた動画を再生する。
『証拠残すからね。録るからね。覚えてなさそうで不安しか無い』
『なんで?絶対に覚えているよ?俺に関わってくれるなんて、本物の神様みたいだ』
『う、うーん。みたいだって、ものの見事にそうなんだけど』
『人肌、すごい』
『猫みたいにまとわりついてきて、可愛いね』
恥ずかしくなって一旦尚は動画を止める。
下半身がきつくなって、部屋の電気を消し、毛布をかぶる。
そして、寝巻きだけでなく下着まで下ろした。
ものすごい背徳感に包まれていた。
母親に隠れてオナニーしようとした夜よりももっと強烈なものだ。
また動画を再生する。
今度は最後に届いた動画を。
『ん、んんん。ぷはっ』
『息してね?』
『だってさ、気持ちよすぎてそれすら忘れる』
『口説き文句としては最強だけど、ほら』
『あっ。舌』
『そうだね。舌だね。絡み合っている』
クチュ、クチュっと音を携帯の録音アプリが積極的に拾う。
『俺、本当に、キス、初めてで』
喘ぎながら尚が伝えていた。
『知ってる。下手っぴだもんね。でも、その初々しさがいいな』
『またして……ください』
『うーん。そうしたら、キスだけじゃすまないと思うよ?』
『んっ』
『あれ、想像しただけで気持ちよくなった?』
尚はまた動画を止めた。
耳が犯されたような気分だ。
「小っ恥ずかしくて、もう、聞いてられねえっ」
性器はすっかり固くなっていて、触れると先端を濡らしていた。
数日前の醜態が、卑猥に蘇ってくる。
時雨は、股を開いて罰に怯えた自分をどんな思いで見たのだろう。
可哀想そうだと思っただろうか。
それとも、別の感想を持っただろうか。
動画を再開し、時雨に見られた夜のことを脳裏に思い浮かべる。
股を開くという怖い経験は、別のものに書き換わりつつある。
彼ならそこを労って守ってくれるというような絶対の安心感があるから、想像の世界に登場させられる。
手につばを付けて、身体を丸めて、性器を握り込む。
激しくこすっても優しくこすっても、終わりはやって来ず、苦しいだけの時間が続いた。
先端にきっちり蓋をされたかのように、最後のほとばしりはやって来ない。
実は尚は、救世教団でのオナニー禁止を破った罰を受けたせいで夢精したことはあっても、今まで一度も射精したことが無いのだ
「出来ると思ったんだけどなあ」
尚は諦めベットから出た。
初めて想像の中に自分以外の人物を登場させてみたが、無理だった。
想像の時雨ですら出来ないのだから、さっさと諦めた方がよさそうだ。
「今更、センチメンタルに浸ってどうするって話だ」
洗面所で手を洗い、尚はそのまま外に出ようと居間に向かった。
真向かいは翠雨と氷雨の部屋で、扉は閉められていなかった。
彼らは電気を消した状態でベットに腰掛け、透明な天幕部分から見える星を眺めていた。
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