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第五章
81:誰だよ?お前が人付き合いするイメージねえぞ?
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尚は心がしんどくなり二人を残し、今夜の宿へと戻る。
キングサイズのベットに寝転ぶと、半透明の天幕部分から星が見えた。
ちょっとその上で弾んでみる。空元気というやつだ。
「すげえ。こんなベット。王様気分」
今夜一人で寝ることになるベットは広すぎて悲しくなる。
昨夜、口付けられた襟足を尚は触る。
蘇ってくるのは時雨の体温と息遣い。
尚は、襟足から唇に手を移動させた。
しばらくして、翠雨が部屋にやってきて「風呂、空いたぞ」と言いながら、どすんとベットにダイブ。
湯上がりのシャンプーの香りがした。南国のフルーツみたいだ。
「ラブマ神のやつ、まだかかりそうなんだってな」
「そうみたい」
「元気出せって。明日にはきっと来る」
「全然、元気だよ。体調も悪くない。だから、俺には構わず氷雨さんのところにいたら?今夜、邪魔しになんて行かないし」
すると翠雨が、お前、分かってないなあといように肩をすくめる。
「さっき、川でも言ったろ?悪尚が一人っきりで寂しそうにしてるのを神様として見過ごせないって。氷雨だってそんなオレのことなんか好きじゃないだろうし。でも、でもな!」
翠雨が珍しく真剣な顔をした。
「氷雨がこう考えるから、お前のこと、今は慰めとこーって思って来たわけじゃないからな!!」
「さっきは、友達だから見過ごせないって言ってなかったけ?」
「神様としても友達としてもだ!」
「翠雨さんが眩しい」
尚はふざけて顔を覆った。翠雨という少年の姿をした神様は、本当に真っ直ぐなんだなあと、話を聞いているだけでこそばゆくなる。
「おちょくりやがって。そんな、お前にはこうだ」
翠雨が携帯を出し、なにやら画面を操作している。
「送った」
「誰に?」
「時雨に。悪尚がひね尚だって」
「また奇妙なニックネーム!そもそも俺、何で悪尚って呼ばれるようになったんだっけ?」
「酒癖が悪いからだろ」
「ああ、そうだった。そんな風に時雨さんから紹介されたんだっけね、祭りのときに。もう遠い日にことみたいに思えるなあ」
「じいさんか。東京戻ってからも、楽しいことすんだろ」
「したいね」
無理だけど、と尚は心の中で呟く。
「そういえば、お前、最終日に別行動なんだってな?」
「昔、住んでいたあたりをぶらぶらしようと思って」
「一緒に行ってやろうか?どうせ、みんな暇だし」
「ううん。人を会う予定がある」
「誰だよ?お前が人付き合いするイメージねえぞ?」
「昔の知り合い」
「ふうん。ラブマ神だけでも付き合わせれば?」
「そういうのはいいんだって」
「もっと甘えりゃいいのに。もしくは頼るとかさ。甘えベタで頼りベタなのは昔、それで痛い目を見たせいかもしれないけれど、お前が生きているのは今なんだからな。過去でも未来でもない」
「……うん」
「説教じみた。せっかくの旅行なのに。けど、悪尚が上の空なのが悪い」
「翠雨さんは、とても十八歳には思えない。大人だ」
「人間の世界で十八歳って設定なだけ」
「そうか。神様なんだけっけね、三人とも。忘れていた」
キングサイズのベットに寝転ぶと、半透明の天幕部分から星が見えた。
ちょっとその上で弾んでみる。空元気というやつだ。
「すげえ。こんなベット。王様気分」
今夜一人で寝ることになるベットは広すぎて悲しくなる。
昨夜、口付けられた襟足を尚は触る。
蘇ってくるのは時雨の体温と息遣い。
尚は、襟足から唇に手を移動させた。
しばらくして、翠雨が部屋にやってきて「風呂、空いたぞ」と言いながら、どすんとベットにダイブ。
湯上がりのシャンプーの香りがした。南国のフルーツみたいだ。
「ラブマ神のやつ、まだかかりそうなんだってな」
「そうみたい」
「元気出せって。明日にはきっと来る」
「全然、元気だよ。体調も悪くない。だから、俺には構わず氷雨さんのところにいたら?今夜、邪魔しになんて行かないし」
すると翠雨が、お前、分かってないなあといように肩をすくめる。
「さっき、川でも言ったろ?悪尚が一人っきりで寂しそうにしてるのを神様として見過ごせないって。氷雨だってそんなオレのことなんか好きじゃないだろうし。でも、でもな!」
翠雨が珍しく真剣な顔をした。
「氷雨がこう考えるから、お前のこと、今は慰めとこーって思って来たわけじゃないからな!!」
「さっきは、友達だから見過ごせないって言ってなかったけ?」
「神様としても友達としてもだ!」
「翠雨さんが眩しい」
尚はふざけて顔を覆った。翠雨という少年の姿をした神様は、本当に真っ直ぐなんだなあと、話を聞いているだけでこそばゆくなる。
「おちょくりやがって。そんな、お前にはこうだ」
翠雨が携帯を出し、なにやら画面を操作している。
「送った」
「誰に?」
「時雨に。悪尚がひね尚だって」
「また奇妙なニックネーム!そもそも俺、何で悪尚って呼ばれるようになったんだっけ?」
「酒癖が悪いからだろ」
「ああ、そうだった。そんな風に時雨さんから紹介されたんだっけね、祭りのときに。もう遠い日にことみたいに思えるなあ」
「じいさんか。東京戻ってからも、楽しいことすんだろ」
「したいね」
無理だけど、と尚は心の中で呟く。
「そういえば、お前、最終日に別行動なんだってな?」
「昔、住んでいたあたりをぶらぶらしようと思って」
「一緒に行ってやろうか?どうせ、みんな暇だし」
「ううん。人を会う予定がある」
「誰だよ?お前が人付き合いするイメージねえぞ?」
「昔の知り合い」
「ふうん。ラブマ神だけでも付き合わせれば?」
「そういうのはいいんだって」
「もっと甘えりゃいいのに。もしくは頼るとかさ。甘えベタで頼りベタなのは昔、それで痛い目を見たせいかもしれないけれど、お前が生きているのは今なんだからな。過去でも未来でもない」
「……うん」
「説教じみた。せっかくの旅行なのに。けど、悪尚が上の空なのが悪い」
「翠雨さんは、とても十八歳には思えない。大人だ」
「人間の世界で十八歳って設定なだけ」
「そうか。神様なんだけっけね、三人とも。忘れていた」
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