【完結】神様はそれを無視できない

遊佐ミチル

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第四章

45:……帯していない。それに、何で、俺、パンツ履いてないんだ?

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 気持ちが良くて、ずっと腰を動かしていた。
 足の間に何かある。
 たぶん、人肌だ。
 ああ、射精したい。
 でも、いきそうでいけなくて。
 いつもある罪悪感は皆無で、強烈な気持ちの良よさに包まれていた。
 もう腰が溶けそうだ。
 股を押し上げられるような力を感じ、ふっと目が冷めた。
 いつもの座敷に蚊帳が吊られてあって、尚は布団に寝かされていて、隣には時雨がいた。
 かくゆう自分は、腹までめくれあがった浴衣に両腕にかろうじて袖が通っているだけ。前は全部、はだけられている。
「……帯していない。それに、何で、俺、パンツ履いてないんだ?」
 隣で眠る時雨の片足を尚の両足が挟み込んでいた。
 彼は寝返りを打とうとしていたらしい。
 潤んだ性器の先が、時雨の腿を少し汚している。
 まさか夢精までした?
 しかも、この人の足で?
 やばい。
 拭いておかなきゃ。
 バレる。
 叱られる。
 浴衣の裾で時雨の腿のあたりを必死に拭いた。
「何やってんだ、俺。時雨さんの足で、オ、オナるなんて」
 昨夜、何があったんだっけ?
 祭りから帰ってきて、居間でみんなでスイカを食べて、それから……?
「酒の缶を間違えて開けちゃって、飲んだら美味かったからそのまま何口か」
 なんとか証拠を隠滅し、高速で寝返りを打つ。
 もう、時雨の顔を凝視できない。
 腕の中にもいられない。
 隣には、もう一組布団が敷かれていてた。
 時雨とよく似た、でも髪の色はかなり黒い目つきがキツめの男がそばがらの枕に頭を付けたまま、じっとこちらを見ていた。
 時雨の兄の氷雨だ。
 時雨と二人きりだと頭から思いこんでいたし、隣に眠っていた割には、氷雨には気配というものが全く無かった。
 まるで人間じゃないみたい。
 いや、神様なんだから正しい表現なんだけれども。 
 人間の姿をしていても、それらしくないという意味で。
「い、い、いつからそこに」
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