上 下
43 / 169
第三章

43:昨晩、オナニーをしようとしました。今、勃起もしてしまいました。だから、ニ百回、僕のおぞましい性器を叩いてください

しおりを挟む
 翠雨が考え込む。
「親子間での適合率はいいから、親から子へ移植したり、逆の場合もある」
「もしかしたら、新興宗教に狂った憎い母親が腎臓の病気で、くれてやったか」
 氷雨が憐れむような目で尚を見た。
「あと、日本じゃ禁止されているからあり得ないけれど、臓器売買とかな。難民とかがよくやる。腎臓一個の取引価格は、約二千万円だけど、本人に渡るのは十分の一。しかも、日本じゃ考えられないぐらい汚い場所で手術をするみたいだから、健康体には戻れない奴もいるって」
「さすが医大生」
 時雨はあらためて感心した。
「日常生活もままならないほど具合が悪くなるときがあるなら、病院へ連れてけよ、ラブマ神」
「分かった。でも、応じてくれるかなあ。救世教団で嫌な目にあってきたせいか、尚は他人のこと信じてないし、頼ろうともしない」
「目の方は聞いたか?何で、いつも眼帯をしているのか」
「いや。寝ているときに外してやろうとしたら」
 時雨は浴衣の右腕の袖をめくって、薄くなりかけている引っかき傷をみせる。
「こいつの左側に立つすえた匂いがする。しばらく身体を洗っていない人間の香りっていったら分かるか?左側の顔だけそういう匂い。ムレてあせもとかが大量に出来てんのかもしれない。目の周りを不衛生にしておくと、後々やべえぞ。医学書で悲惨なのをいっぱい見た。皮膚炎起こしているなら、薬を塗らなきゃいけないし、 こういう厚手のウレタン素材の眼帯はもっての他。紙製の清潔なやつで出来れば外出時だけとかにしとかないと」
 翠雨が尚の目の下にできている眼帯の隙間を指先で掬おうとした。
 すると、尚がはっと目を開ける。
「あ、尚。起きた。酔ったね?その缶、渡して」
 時雨が声をかけると、尚の目は虚空を見つめている。
 その様子があまりにもおかしく、時雨も翠雨も氷雨も尚の顔を覗き込んでしまった。
 突然、
「ご……めんな……さい」
と唇が動いた。
 そして、持っていた缶を怯えたように腹の上に落とし、今まで聞いたことないような大音量で「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」と叫ぶ。
 浴衣に缶の中身が溢れていく。
「酒癖、悪っ」
と翠雨が缶を座敷テーブルによせながら呆れた。
「いや、それだけじゃない。様子がおかしい」
 氷雨が尚の顔を再度覗きこむ。
 その間も尚は、「ごめんなさい」を繰り返し、恐怖に怯えた顔で、履いていたボクサーパンツに手をかけた。
 そして、「オナニーなんてしようとしません。絶対しません」と震えながら言って、
「だから、手足を押さえないで。自分でやります」
とパンツを脱いで、膝の裏に手を入れた。
 そして、首を大きく捻って座椅子の背もたれに埋めながら足を大きく開脚する。
 尻の穴まで丸見えだ。
 目はうつろ。
 痩せ枯れた身体が異様なほど卑猥で、時雨の目がチカチカする。
 人間の身体など、そして痴態など見慣れているはずなのに。
「尚?どうした?」
 時雨は尚の右頬を擦った。
 だが、膝裏に回った尚の手は外れない。
 股関節が外れそうなほど、さらに足が大きく開かれる。
 力なかった雄が、どんどん膨らんでいってぴんと上を向いた。使い方など知らないはずなのに、尻の穴がひくついている。
 尚は、うわ言のように言う。
「昨晩、オナニーをしようとしました。今、勃起もしてしまいました。だから、ニ百回、僕のおぞましい性器を叩いてください」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺

ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。 その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。 呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!? 果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……! 男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?) ~~~~ 主人公総攻めのBLです。 一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。 ※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

一度くらい、君に愛されてみたかった

和泉奏
BL
昔ある出来事があって捨てられた自分を拾ってくれた家族で、ずっと優しくしてくれた男に追いつくために頑張った結果、結局愛を感じられなかった男の話

処理中です...