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魔法少女とクラスメイトたちの食事会

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 久々に会えて嬉しいのは分かるが、頭突きは止めてほしかったな……。

「おお! おお! 本物じゃ!」
「……嬉しいのは分かったので、もうそろそろ離れてくれませんかね? 流石に辛いので」

 良い感じに鳩尾を頭突きされたのでとても痛い。

「あっ。悪かったのじゃ。大丈夫かえ?」
「ええ。大丈夫ですが、次からはしないで下さいね」
「すまなかったのじゃ。して、どうして寮に?」

 やっと離れたミカちゃんは少々涙目だが、別れた時と変わらず元気そうだ。
 強いて言うなら、筋力が上がっている気がするな。

 ちゃんと訓練をしているのだろう。

「容疑が晴れたので、荷物を回収に来たんですよ。学園も封鎖ですし、これから先どうなるか分からないですからね」
「なるほど。色々と置いてあったように思うのじゃが、1人で大丈夫なのかのう?」

 筋力的な面で見れば駄目だが、アクマが収納してくれるので大丈夫なはずだ。

「ええ。魔法があるので大丈夫です」
「そうなのじゃな……」

 ミカちゃんが話そうとすると、ミカちゃんの端末が鳴った。

「この音はマリンからじゃな。一体なんだ?」

 マリンって事は今日の夜についてかな?
 クラスメイトに連絡すると言ってたし。

 ミカちゃんがチラリと端末を見ると、顔色を変えた後に素早く返信した。

「なるほどのう。どうやらマリンに捕まったみたいじゃが、大丈夫じゃったのか?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかなら、駄目でしたね。ミカちゃんは夜来るのですか?」
「うむ。折角の誘いじゃからの。討伐も頑張ったから今日の午後から明日までは休みなのじゃ」

 ミカちゃんも頑張っているみたいだな。
 一緒に訓練をしていた頃が懐かしく思う。

「そうですが。それではまた夜に会いましょう」

 ミカちゃんに別れを告げ、自分の部屋に向かおうとすると、服を掴まれる。

「……何でしょうか?」
「久々に会ったのにそれだけかえ?」

 まるで今日のマリンを思い出させる笑顔を、ミカちゃんはしていた。

 それだけと言われてもどうせ夜会うのだし、片付けもそれなりに時間が掛るだろう。
 正直、今ミカちゃんに構っている余裕はない。

「また夜に会いますし、話でしたらその時にしましょう。片付けも時間が掛るので、早めに始めたいのです。それでは……」

 服を掴む手が離れることはなかった。

「……」
「……」

 ……どないすればええねん!

「離してもらえませんか?」
「うむ。そうじゃな。分かっているのじゃが。こうも淡白な反応をされると…………なんか癪に障るのじゃ」

 淡白と言われても、どんな風に反応すればいいか全く分からない。
 大人になれば数カ月や数年ぶりなどざらにある。

 ほんの1週間か2週間程度の再会で驚きも悲しみもない。

「――片付けが終わったら部屋に行くので、待っていてくれませんか?」
「うむ。言質は取ったのじゃぞ。もしも来なかったら呪ってやるからの!」
「分かりましたから早く離してください」

 ようやく手を離したミカちゃんを追いやり、自室に入る。

 まだ地味に腹が痛い……。

 部屋の中は出て行ってから何も変わってないな。
 先ずは服の類を全てアクマに収納してもらい、必要ないものは纏めて捨てる。

 俺の魔法が掃除に使えれば良いのだが、本当に悔やまれる。
 基本的に壊す専門なのだ。

 そんなこんなで綺麗さっぱり片付いたので、残っていたジュースを飲んで休んでからミカちゃんの部屋に向かう。

 そう言えばミカちゃんの部屋に来るのは初めてだな。

 ミカちゃんを含め、マリンや茨姫などがちょいちょい訪ねてくるので、自分から他の部屋に行く事は一度もなかった。

 とりあえずインターホンを押すか。
 
『イニーじゃな。開いてるから入ってなのじゃ』

「分かりました」

 部屋は動物のぬいぐるみが結構あるが、所々変なものが置いてある。
 ひな人形や、達筆の掛け軸など様々だ。
 
「座って待っていてなのじゃ」
「分かりました」

 コトリとジュースの入ったコップと、何故か和菓子が置かれる。
 そこはお茶じゃないのかとツッコンだ方が良いのだろうか?

「あの後一体どこに行っておったのじゃ?」
「知り合いの家でお世話になっていましたが、お姉ちゃんに見つかり連行されました」
「うぬ、そうじゃったのか。しかし、一時期はどうなるかと思ったが、こうして再び会えて嬉しく思うぞ」

 こちらとしてはあのまま一生の別れになると思っていたと言ったら、どんな顔をするのだろうか?
 流石に言う気はないが、少し気になる。

「ミカちゃんの方はあれから何かありましたか?」
「そうじゃな……討伐の依頼が増えたのもあるが、訓練をしてくれる先輩が鬼畜で困っているくらいじゃな。おかげで強くはなれているのじゃが…………辛いのじゃ」

 もしかしてあの時俺をよしよししながらお菓子を食べさせてきた人だろうか?
 東北支部で最もランキング高くて強いとアクマが言っていたが、最初に感じた強者の風格から繰り出された母性のせいで、妙に記憶に残っている。
 
「先輩ってもしかしてあの時東北支部で話した人ですか?」
「うむ。よく覚えているのじゃな。きゃつは普段はおっとりとしているのじゃが、戦いとなると妙にSになるのじゃ」
「……強くなるためには仕方ないでしょう」

 B級以下なら負けそうになったら直ぐに逃げられるだろうが、それ以上は逃げたくても逃げられない。
 運に頼らなくて良いように、しっかりと訓練を積むのは間違っていない。

 そう。運なんてものには頼っていけないのだ。

「分かっているのじゃが、イニーとしてた訓練位厳しいのはちと堪える……」
「生きるためには仕方ない事ですから頑張って下さい」

(ミカちゃんのランキングってどうなってるんだ?)

『ちょこちょこ上がってるね。今は105位だから頑張ってると思うよ』

 魔法少女としては中堅と言った所か。
 例外マリンのせいで影は薄いが、新人としては破格のランキングだ。

(もうB級も倒しているのか?)

『計3体倒しているね』

 ランキングを考えれば当たり前か。
 そんなに生き急がなくても良いと思うんだがね……。

「そうじゃのー。早く立派な魔法少女になってA級やS級の魔物をバッタバッタと倒すのじゃ!」
「意気込むのも良いですが、無理はしないようにしてくださいね。命は1つしかないのですから」
「……それをイニーが言うのかえ?」

 ミカちゃんは何故か呆れながらジュースを飲む。

 いや、言いたいことも分かるが、基本的に俺も死ぬつもりはない。
 ちょっとばかし敵のインフレが激しいが、なんやかんや勝ってるからな。

 流石にマスティディザイアの時は死を覚悟したが、フールのおかげでどうにかなったからな。

 1時間程他愛もない話をしていると、マリンから集合時間についての連絡がきた。

 集まるのはマリンたち2人とミカちゃんと俺。
 それからスイープに茨姫と焔が来るそうだ。

 他は討伐に出ていたり用事がある為来られないみたいだが、そもそも集まると思ってなかったので、驚きである。

 特に焔が来るとは思っていなかった。
 喧嘩の仲裁をして以降は大人しくはないが、最低限のルールは守っている。

 訓練中に、たまにちょっかいを掛けてくる事もあるが、マリンが焔の相方である暁諸共叩きのめしている。

 スイープと茨姫は言わずもがなだろう。
 ギャルと姫モドキだ。

「少し早いですが、先行って席を取っておきましょう」
「そうじゃな。沼沼は予約が出来ないのが玉に瑕じゃが、魔法少女特約を使えば大丈夫じゃろう」

 結構なお値段が掛るが、大体の店では魔法少女向けに優待的なものをやっている。

 通常の数倍のお金を払う事で席を用意してもらったりできる。
 ついでに新人向け一般向け上級向けみたいな形で3種類ある事が多い。
 席が空いたら優先して案内。個室に優先して案内。特別な席にご案内と言った感じだろう。

 前にクラスメイト数人で行ったカラオケは新人向けの優待で席を確保してもらったりした。

 折角だし席代位は俺が出そう。
 多少心配を掛けたみたいだし、迷惑料としてなら問題ないはずだ。
 ……こんな時でもないと、金を使うことがないからな。
 5人で100万円程度だろうが、正直はした金だ。

 昔は大金だったのだが、使い道の無い金だ。

「今回は私が全員分の席代を出しましょう。心配を掛けた迷惑料だと思って下さい。勿論一番上のやつを選ばせてもらいます」
「構わぬのじゃが、結構な金額にならんかのう?」

 ミカちゃんに端末で俺の預金額を見せると、スッと顔から表情が無くなった。

「問題なさそうじゃな」
「ええ。そういう事ですので、行きましょう」

 テレポーターで跳んで、歩いて沼沼まで向かう。
 ちなみに道中は、ミカちゃんに手を繋ぐように強要されました。
 振り払いたくても振り払えない弱さが恨めしい……。

 そんな憂鬱な道中の事など忘れるとして、やっと沼沼に着いた。
 
「いらっしゃいませー」
「魔法少女優待を使いたいのですが」
「はい。一応3種類ありますが、一番下で宜しいでしょうか?」
「いえ。一番上で。7名でお願いします」

 店員の妖精が怪訝な顔をする理由は分かるが、名前を言ったら直ぐににこやかになった。

「あなたが噂の魔法少女でしたか。でしたら大丈夫ですね。残りの方のお名前をお願い出来ますか?」
「マリン。スターネイル。スイープ。茨姫。焔です。全員日本の魔法少女になります」
「承知しました。席に案内しますね」

 やはりタラゴンさんの庇護下にあるのは大きいな。
 俺個人には悪名しかないから、本来なら嫌な顔をされていた可能性もあっただろう。

『マリンとスターネイルがこっち妖精界に来たみたいだよ。後20分くらいで来ると思うよ。他もそんな感じかな』

(了解)

 いつも案内される場所よりも奥まった場所に歩いて行く。
 ミカちゃんが物珍しそうに辺りを見回すが、その気持ちはよく分かる。

 あんなに寂れた外見の店なのに、ここまで高級感が溢れ出る内装の場所があるとは驚きだ。
 
「こちらになります。注文方法はご存じでしょうか?」
「大丈夫です」
 
 襖を開くと座敷の部屋が広がっていた。
 靴を脱いで上がると結構広々としていて、居心地が良さそうだ。

「残りのメンバーも後20分程度で来るそうなので、飲み物でも頼んで待っていましょう」
「そうなのかえ? じゃあ適当に頼むとするかのう」

 いつもなら珈琲を頼むのだが、たまには違うのを頼むとしよう。
 ついでに珈琲だと、どうしてもトイレが近くなるので、こういう時に頼むのはあまり宜しくないだろう。

「私の分はミカちゃんと同じでお願いします」
「分かったのじゃ」

 ミカちゃんが頼んで数十秒で飲み物が届く。
 お金が掛かっている分、サービスも良いようだ。

 届いたのはクリームソーダだった。

 上に乗っているバニラアイスをつんつんしながらゆっくりと味わっていると、襖が開き、店員と共に5人が姿を見せた。

「ここが優待の一番上の部屋なのね」
「ここって結構やばい値段じゃないのか?」

 最初に金の心配をするとは焔らしいが、今回は無用な心配だ。

「心配を掛けた迷惑料として席代は私が払いますので、心配無用です」
「へー、流石イニっちじゃん。よっ! 太っ腹!」
「女性に太っ腹は流石に失礼じゃなくて?」

 スイープと茨姫も相変わらず元気そうだな。
 若干スターネイルが居心地悪そうにしているが、初めて顔を合わすのだから仕方ない。
 
「席はくじ引きで良いじゃろうか?」

 そう言えばだれがどこに座るとか考えてなかったな。
 ちまちまと何か作ってるなーと思ったが、くじを作っていたのか。
 
「――良いわね」 

 マリンの雰囲気が変わり、ミカちゃんが不敵に笑う。

「上座を1番として、そこから隣に番号順じゃ。妾は余りでよいぞ」
「一応くじを見せてもらえる?」

 くじ――木の棒の先に数字が書いてあるシンプルな物だ。
 何を心配しているのか分からないが、マリンは入念にくじを調べる。

「今日の討伐はどうでしたか?」

 暇つぶしついでに、浮いているスターネイルに話しかける。
 
「今日の? A級を5体と他を適当に沢山かな。マリンちゃんが急かすから、少し大変だったよ」

 結構な量を討伐してきたみたいだが、怪我らしい怪我はないみたいだな。
 魔物の討伐は早さも大事だが、怪我をしないことが一番だ。

 俺みたいに回復できるならともかく、普通は回復に時間がかかるからな。
 小さな怪我も積み重なればミスの原因になる。

 そのミスで死ぬか、それとも大怪我をしてしまえば取り返しのつかない事態になってしまう。

「そうですか。とりあえず怪我がなくて良かったですね」
「うん。怪我はないんだけど……ないんだけどねー」

 何故苦笑いをする?

「2人は相変わらず、といった所ですか?」
「それは酷い言い草じゃない? ……まあ、これと言って変わってないけどねー」
「私もそうですわね。ただ、以前よりも忙しくはなりましたわ」

 魔物による被害が多い中で、しっかりと生き残れているのは評価できる点だ。
 復帰するには時間が掛る怪我や、そのまま帰らぬ人になる事も最近は増えている。

 アクマ調べだが、今の所クラスメイトの中に死人は出ていないようだ。

「元気そうなら何よりです。焔も相変わらずですか?」
「――たかが数週間で変わるわけないだろう。だが、実入りは良くなったな」
 
 ほんの一瞬だけ焔は暗い表情を浮かべるが、いつもの調子で答える。
 気のせいかと思ったが、俺の勘が何かあると告げている。

 勘というよりは俺の糞運が囁いている感じだ。

 気にした方が良いのか、それとも無視した方が良いのか……とりあえず様子見といこうか。

「そうですか。とりあえず皆さんが元気そうで良かったです」
「……そうだな」

 やっとマリンとミカちゃんの攻防が終わり、結果として一斉にくじを引く話で纏まった。
 
 一斉に引いた引いた結果、1番から順番に俺。ミカちゃん。焔。
 対面がマリン。スイープ。茨姫となっていて、一応当りとなる誕生日席はスターネイルとなった。

 各自が適当に好きな物を頼み、わいわいと話しながら食事を楽しむ。

 まだ男だった時の忘年会を思い出すが、酒が入らない分此方の方がマシだろう。

 少々マリンから圧を掛けられながらもつつがなく食事を終えて、やっと解散となる。

 マリンとスターネイルに、連行されるようにして店から出ようとすると、焔に呼び止められた。
 
「どうせ帰りは別なのですから、2人共先に帰っていてください。話は私1人の方が良いのでしょう?」
「ああ。マリンたちには悪いが、サシで話がしたいんだ。勿論イニーに何かするわけじゃないと約束する」

 じっとりとした視線を向けてくるマリンを追い払い、焔と2人きりになる。

「それで、話とは何ですか?」
「……イニーの回復魔法って欠損とか治せるんだよな?」

 おや? 何やら重たい話かな?
 一応俺のプロフィールには回復魔法を使える事が書かれているが、どの程度かは書いていない。
 まあ新魔大戦の時に色々と見せてしまっているので今更感も拭えないが、一応秘密にはしている。

「治せますが、何か関係が?」
「暁の腕がさ、喰われちまったんだ」
「……何があったんですか?」

 寂しげで、後悔を滲ませる様に焔は続きを話した。

 焔と暁。それと2人の先輩となる魔法少女とB級の魔物に挑んだのだが運悪く奇襲され、先輩が負傷。
 2人で協力してB級に挑んだのだが、暁が焔を庇って腕を失う大怪我をした。
 
 2人が所属している支部にも一応治せる魔法少女はいるのだが、腕1本を治そうものなら1日何もできなくなってしまう。
 特に最近は魔物の戦いで怪我をする魔法少女が増えてきているため、ランキングの高い順に治療されている。

 その為最低限の治療だけされて、暁は放置されている状態だそうだ。
 回復魔法が使える魔法少女はほぼ全員駆り出されているため、大金を積んだとしても、治療は受けられない。

 更に運がないことに、時間が経った怪我は治すのが難しい。

 このまま魔法少女として隠居するのはよくある話だが、そう簡単に片付ける事が出来れば苦労しないだろう。
 
 焔の話を纏めればそんなところだろう。
 
「私に暁の怪我を治して欲しいと?」
「ああ。無理を言ってるのは分かるけど、もうお前しかいないんだ。このままじゃああいつは……」
 
(どうする?)

『うーん。個人的にはどっちでも構わないよ。ハルナの好きな方を選べば?』

 ふむ。好きな方ね。

 断るのも一興かもしれないが、俺が仲裁して以降は一応真面目に魔法少女をしているし、助けてやるとしよう。
 ブルーコレットもこの2人程度で良いから真面目に魔法少女をしていれば、あんな事にもならなかっただろうに。

「あまり良くはないですが、治しましょう。その代わり、内密にお願いします」
「本当か! ありがとう! 本当に助かる!」

 焔は泣きそうな表情から笑顔に変わる。そして、思いっきり抱きしめられたせいで苦しい。
 何とか焔をなだめながら、引き離す。
 
「それで、肝心の暁はどこに居るんですか?」
「実家で療養しているはずだ」

 通常の手段だとテレポートしてから徒歩で向かわなければならないが、流石にそれは面倒だな。
 
(焔の思考を読んで転移って出来るのか?)
 
『可能だよ。読むときに、焔に触れている必要があるけどね』

(了解)

「暁の住所は……」
「いえ、言わなくても大丈夫です。思い浮かべてくれれば、転移で跳びます。少し体に触りますが気にしないで下さい」
「おっ、おう。分かった」

 とりあえず触るのは肩で良いか。

『……場所は分かったから。跳ぶよ』

(了解)

「転移しますが、声を出さないで下さいね」
「分かった」

 視界が変わり、住宅街に転移した。
 街灯があるおかげで少々明るいが、既に太陽が沈んで月が辺りを照らしている。

「この家だ。明かりが点いてるから家族も居るみたいだな」

 家族が居るのは少し間が悪いな。サッと治してサッと帰れるのが理想だが、ここは焔を上手く使うとしよう。

「暁とは変身していない時も友達ですか?」
「ああ。小さい頃からよく遊んでいたけど、それがどうかしたか?」
「なら焔は変身を解いて、見舞いに来たと言って中に入って下さい。焔を座標にして転移するので、暁と2人きりになって下さい」
「分かった」
「今から5分後に転移するので、駄目そうなら一度外に出て下さい」

 焔は頷いてから変身を解いて、暁の家に向かって行った。
 後は時間まで待って転移して、治したらそのまま逃げればいい。

 空を見上げると、凛々と月が輝いている。
 寒いせいか空気が澄みわたっていて、とても綺麗だ。
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