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魔法少女と新人魔法少女大戦
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魔法少女同士の戦いは、シミュレーションが開発されてから、訓練の一環として行われることが増えた。
何故魔物だけではなく、魔法少女を相手にした訓練するのかには2つの理由がある。
先ずは人形や、特殊なドッペルなどの魔物が出た際に躊躇うことなく、戦えるようにするためだ。
もう1つは指定討伐種と呼ばれる者を倒すためだ。
彼女らはその人外の力を私利私欲のために使い、一般人は勿論、他の魔法少女にも無視できない被害を出している。
そして、魔法少女の戦いは一般人からすれば、とても刺激的なものだ。
だが、魔法少女の戦いをリアルタイムで見るのは難しい。
なので、魔法少女たちの戦いを見るには、公式から販売されている動画を見るしかない。
そんな彼女たちの戦いを、リアルタイムで見ることができる数少ないチャンスの1つが、今回開催される新人魔法少女大戦。
通称新魔大戦と呼ばれるものだ。
他にも見ることが出来るチャンスはあるのだが、一般人からしたら何しているか分からないものが多い。
その点新魔大戦は新人の魔法少女同士の戦いの為、他に比べて何をしているのかが分かる。
また、若い少女たちの戦いというものは、それだけでも見る価値があるのかもしれない。
また、基本的に一般人は妖精界に出入りするには相応の理由が必要だが、今日に限っては誰でも出入りができる。
その代わり問題を起こした者は即時退去となる。
だが、世界各国から人が来れば、1つの会場では到底収まることは叶わない。
ここで出番となるのが、妖精の魔法と科学を融合させて作られた、超立体3Dホログラム装置だ。
正式名称は別にあるが、少々長いので、省略しておく。
この装置により、あたかも目の前の会場で戦っているかのように見えるのだ。
運悪く会場に入れなかった人用にも、パブリックビューイングや、妖精界に来られない方にも、テレビでの放映も行っている。
『皆様長らくお待たせしています。只今より、新人魔法大戦を開催したいと思います。解説並びに実況は妖精局広報担当のフェイと』
『日本ランキング9位のアロンガンテでお送りします』
会場の1つである、日本支部の学園に解説役の声が響き渡る。
会場が学園の為、此処に来ているのは学園に通っている魔法少女や、その関係者が多い。
その中にはマリンやミカなども含まれている。
出場選手となるイニーや他の魔法少女は最初の開会式はランダムに選ばれた会場で行われ、その後は今回用に調整がされた、シミュレーターがある場所に移動となる。
「あっという間だったわね」
「そうじゃのう」
マリン達がブレードと模擬戦した日からは平和に日々が続き、あっという間に新魔大戦の日を迎えた。
「聞いた時は嘘かと思いましたが、本当にあのような事をするのでしょうか?」
茨姫が頬に手を当て心配そうにする。
今回学園の代表として出場するイニーの応援のため、新人クラスの生徒や、他のクラスの生徒たちはこの会場に来ている。
ただ応援のために来ている生徒も居れば、ある理由のために来ている生徒も居る。
「でも、実際に見たけど普通に戦えてたじゃん? 何時もより動きは悪かったけどさ」
スイープが心配なんてしなくても、大丈夫だと言わんばかりに相槌を打つ。
「それよりもさ、姫はいくら賭けたの?」
「……20程」
「中々大きい額じゃん」
そう、この大会では賭けが行われているのだ。
もちろん合法的なものであり、優勝者のみを当てる単勝から始まり、3位までを当てる3連単など、色々な種類が用意されている。
稼ぎの少ない新人魔法少女や、一獲千金を夢見る一般人。その他妖精などが主に賭けをしている。
たまに一部の狂った人があり得ない額を賭けてたりするが、元締めは妖精局なので、ランカーが全貯金を突っ込んでも来ない限り、払えない何てことは起きない。
『今回出場する魔法少女は10人になりまして、選手はこちらになります』
解説のフェイがボードを出し、各選手の紹介をする。
日本代表イニーフリューリング。
アメリカ代表オーランタン。
ロシア代表リェーズパーダ。
カナダ代表レジニマリス。
オーストラリア代表ネイティング。
中国代表ロウシェン。
北極代表カルトトリステス。
アフリカ連合代表カリプルヌス。
ミグーリア代表ハブランサス。
妖精局代表デンドロビウム。
『合計10人となります。それでは選手の皆さんどうぞ』
フェイの掛け声とともに10人の魔法少女が現れる。
その中でも一番異質なのはイニーだろう。
他の魔法少女達は愛想を振りまき、アピールをしているのだが、彼女だけはフードを被ったままで、その素顔をみる事ができない。
「イニーは相変わらずね……」
「らしいと言えばらしいのじゃがのう……」
マリンとミカは呆れる様にホログラム上のイニーを見る。
他の客たちも異質な魔法少女に違和感を持つが、開会式は続いて行く。
『対戦方式はトーナメントとなっていますが、組み合わせはここでくじを引いて決めて行きたいと思います』
魔法局や数名のあいさつの後に、早速大会が始まると思いきや、組み合わせはまだ決まっていなかった。
これは場を盛り上げるためでもあるが、不正行為の抑制の為でもある。
優勝すればかなりの賞金に加え、名誉が手に入り、余程馬鹿な事をしなければ、魔法少女としては第一線で活躍していくことができる。
なので、優勝できるなら誰もが優勝したい。
そして、賭けで優勝はもちろん3位までの順位を当てられたのならば、一生遊んで暮らせる金が手に入ることもある。
勝つための不正か、金のための不正か。
なるべく不正を減らすために、このような方法で組み合わせを決めるようにしている。
『くじを引く順番は僭越ながら私が適当に決めさせて頂きます。それでは、 北極代表のカルトトリステス選手からお願いします』
フェイが適当に選んだ選手からくじが引かれていき、10人全員の手に行き渡る。
『行き渡りましたね。それでは一斉に開封してください』
魔法少女たちがくじを開封すると、半透明の数字が大きく頭上に現れる。
同時に対戦表にそれぞれの魔法少女の名前が現れる。
『1戦目はアメリカ代表オーランタン対ミグーリア代表ハブランサスとなります。選手の方々は移動をお願いします』
滞りなく開会式が終わり、選手が移動を始める。
イニーの試合は5番目と最後になり、対戦相手は妖精局代表のデンドロビウムとなった。
また、最後はシード枠となっており、対戦回数が1回少なくなっている。
『さて、選手の準備が整うまでに今回出場となる選手の紹介をしていこうと思います』
『先ずは1回戦のオーランタンとハブランサスですね。どちらも代表となるだけはあり、優秀な魔法少女です』
オーランタン。
アメリカの代表であり、銃剣と数種類の魔弾で戦う魔法少女だ。
近中距離で戦い、新人ながらB級を倒せる強さがある。
少し癖がある性格だが、アメリカの期待の星である。
『えー、オーランタン選手の一言コメントですが、イニーフリューリング許すまじとの事です』
『何やら恨みがあるようですが、頑張って頂きたいですね。続いてはハブランサス選手です』
ハブランサス。
”始まりの日”以降に出来た新しい国であるミグーリア。
その代表であるハブラアンサスは土の魔法と棒で戦う魔法少女だ。
堅実な戦い方をしており、今のところ負傷らしい負傷をしていない。
また、個人よりも集団として戦う方が得意である。
『ハブランサス選手の一言コメントですが、イニーフリューリングの亡命をいつでも待っているとの事です』
『一応我が国の魔法少女なので、公の場での引き抜きは遠慮していただけると、ありがたいです』
「イニーったら何をやらかしてるのかしら?」
「世界中で魔物を狩ってるみたいだし、その時に何かしたんじゃない?」
出番でもないのにイニーの名前が2度も出された事に、マリンは呆れ、スイープが適当に返す。
実際イニーが魔物狩りをしてた時に2人の魔法少女と会っており、片方は魔物を先に倒し、もう片方は仲間の魔法少女を治したりしていた。
どちらがオーランタンか、ハブランサスかは言わなくても分かるだろう。
『おっと。次の選手の紹介の前に1戦目の準備が整ったそうです』
『試合開始の前に、試合のルールを改めて紹介します』
試合形式はデスマッチとなっており、ある程度の痛みは軽減される。怪我や血の表現はゲームの様になっており、誰が見ても安心できる仕様となっている。
試合のフィールドはランダムとなっており、開始する直前まで分からない。
勝敗はどちらかが死ぬか、負けを認めれば終了となる。
会場の真ん中に立体のホログラムが展開され、2人の魔法少女が映し出される。
今回のフィールドは砂浜となっており、ハブランサスの方が有利なフィールドとなるだろう。
『1戦目のフィールドは砂浜ですが、どう思いますか?』
『ハブランサス選手の方が有利になりそうですが、オーランタン選手の1撃は威力があるので、うまく誘い込むことができれば、良い戦いになりそうです』
『ありがとうございます。それでは新魔対戦第1試合……始め!』
フェイの掛け声と同時に、ホログラム上に開始の二文字が映し出される。
先に動いたのはハブランサスだった。
土の魔法で回りの砂を固め、動きやすい足場を作り、オーランタンを待ち構える姿勢を取る。
『自分が有利なフィールドで待ち構える。ハブランサスらしいですね』
『実況としては派手な方がありがたいですが、戦っている魔法少女にとっては勝つ事が大事ですからね』
オーランタンの銃撃をハブランサスは岩を出して的確に防ぐ。
業を煮やしたオーランタンが攻めに出て、ハブランサスが固めた足場に足を踏み入れる。
『おっと! 遂にオーランタンが攻めに出るが、オーランタンの足場だけが砂に変わってしまったー!』
『オーランタンの足場だけ魔法で操作しているのでしょう。中々精密な魔法の操作ですね』
オーランタンは足場の悪さに苦戦しながらもハブランサスを銃剣で攻撃するが、うまく踏ん張ることができず、最大火力を出せないでいた。
砂に足を取られてバランスを崩したオーランタンにハブランサスが追い打ちをかけ、先手を取る。
しかし、オーランタンもただでは転ばず、銃剣の一撃をハブランサスの右腕に叩き込む。
『相打ちのようですが、アロンガンテさんはどう思いますか?』
『ハブランサス選手は、攻撃を受ける際に岩で防御していたみたいなので、見た目よりダメージはないでしょう。しかし、オーランタン選手は体勢を崩していた分、ダメージは深刻でしょう』
時間の経過と共に、オーランタンの動きが徐々に悪くなっていく……。
『おっとー! ここでハブランサス選手の大技が炸裂だー!』
『資料によりますと、アバタールペスタと言うそうですね。聞こえているとは思いますが、補足しておきます』
ハブランサスは自身の棒と、無数の岩で作った棒を使い、オーランタンに連撃を入れる。
ハブランサスは最後の一撃とばかりにオーランタンを空中に打ち上げ、その下に尖った岩を作り出す。
打ち上げられたオーランタンはピクリとも動かず、そのまま落下を始め、岩に貫かれてしまった。
『試合終了! 接戦を制したのはミグーリア代表ハブランサス選手になります!』
『やはり、最初の一撃が鍵となりましたね。とても良い試合でした』
「熱い試合じゃったのう」
「ええ。あの一撃が試合の流れの起点となっていたわね」
「やっぱり、代表になるだけあってすっごいねー」
うたた寝している茨姫を放置し、1試合目の感想を話し合うマリンたち。
新人とは言え、代表になるだけありレベルの高い試合内容だった。
『さて1回戦目が終わった後に聞くのもなんですが、本大会で一番注目する選手は誰でしょうか?』
『そうですね。やはりイニーフリューリングでしょうか? 本大会では一番ランキングが高くなりますからね』
『そのイニーフリューリングですが、大会に出るに辺り、一波乱あったそうですが、本当でしょうか』
『……その件は彼女の出番になった時、お話しします』
『そうですか。それでは、2回戦に移りたいと思います』
何故魔物だけではなく、魔法少女を相手にした訓練するのかには2つの理由がある。
先ずは人形や、特殊なドッペルなどの魔物が出た際に躊躇うことなく、戦えるようにするためだ。
もう1つは指定討伐種と呼ばれる者を倒すためだ。
彼女らはその人外の力を私利私欲のために使い、一般人は勿論、他の魔法少女にも無視できない被害を出している。
そして、魔法少女の戦いは一般人からすれば、とても刺激的なものだ。
だが、魔法少女の戦いをリアルタイムで見るのは難しい。
なので、魔法少女たちの戦いを見るには、公式から販売されている動画を見るしかない。
そんな彼女たちの戦いを、リアルタイムで見ることができる数少ないチャンスの1つが、今回開催される新人魔法少女大戦。
通称新魔大戦と呼ばれるものだ。
他にも見ることが出来るチャンスはあるのだが、一般人からしたら何しているか分からないものが多い。
その点新魔大戦は新人の魔法少女同士の戦いの為、他に比べて何をしているのかが分かる。
また、若い少女たちの戦いというものは、それだけでも見る価値があるのかもしれない。
また、基本的に一般人は妖精界に出入りするには相応の理由が必要だが、今日に限っては誰でも出入りができる。
その代わり問題を起こした者は即時退去となる。
だが、世界各国から人が来れば、1つの会場では到底収まることは叶わない。
ここで出番となるのが、妖精の魔法と科学を融合させて作られた、超立体3Dホログラム装置だ。
正式名称は別にあるが、少々長いので、省略しておく。
この装置により、あたかも目の前の会場で戦っているかのように見えるのだ。
運悪く会場に入れなかった人用にも、パブリックビューイングや、妖精界に来られない方にも、テレビでの放映も行っている。
『皆様長らくお待たせしています。只今より、新人魔法大戦を開催したいと思います。解説並びに実況は妖精局広報担当のフェイと』
『日本ランキング9位のアロンガンテでお送りします』
会場の1つである、日本支部の学園に解説役の声が響き渡る。
会場が学園の為、此処に来ているのは学園に通っている魔法少女や、その関係者が多い。
その中にはマリンやミカなども含まれている。
出場選手となるイニーや他の魔法少女は最初の開会式はランダムに選ばれた会場で行われ、その後は今回用に調整がされた、シミュレーターがある場所に移動となる。
「あっという間だったわね」
「そうじゃのう」
マリン達がブレードと模擬戦した日からは平和に日々が続き、あっという間に新魔大戦の日を迎えた。
「聞いた時は嘘かと思いましたが、本当にあのような事をするのでしょうか?」
茨姫が頬に手を当て心配そうにする。
今回学園の代表として出場するイニーの応援のため、新人クラスの生徒や、他のクラスの生徒たちはこの会場に来ている。
ただ応援のために来ている生徒も居れば、ある理由のために来ている生徒も居る。
「でも、実際に見たけど普通に戦えてたじゃん? 何時もより動きは悪かったけどさ」
スイープが心配なんてしなくても、大丈夫だと言わんばかりに相槌を打つ。
「それよりもさ、姫はいくら賭けたの?」
「……20程」
「中々大きい額じゃん」
そう、この大会では賭けが行われているのだ。
もちろん合法的なものであり、優勝者のみを当てる単勝から始まり、3位までを当てる3連単など、色々な種類が用意されている。
稼ぎの少ない新人魔法少女や、一獲千金を夢見る一般人。その他妖精などが主に賭けをしている。
たまに一部の狂った人があり得ない額を賭けてたりするが、元締めは妖精局なので、ランカーが全貯金を突っ込んでも来ない限り、払えない何てことは起きない。
『今回出場する魔法少女は10人になりまして、選手はこちらになります』
解説のフェイがボードを出し、各選手の紹介をする。
日本代表イニーフリューリング。
アメリカ代表オーランタン。
ロシア代表リェーズパーダ。
カナダ代表レジニマリス。
オーストラリア代表ネイティング。
中国代表ロウシェン。
北極代表カルトトリステス。
アフリカ連合代表カリプルヌス。
ミグーリア代表ハブランサス。
妖精局代表デンドロビウム。
『合計10人となります。それでは選手の皆さんどうぞ』
フェイの掛け声とともに10人の魔法少女が現れる。
その中でも一番異質なのはイニーだろう。
他の魔法少女達は愛想を振りまき、アピールをしているのだが、彼女だけはフードを被ったままで、その素顔をみる事ができない。
「イニーは相変わらずね……」
「らしいと言えばらしいのじゃがのう……」
マリンとミカは呆れる様にホログラム上のイニーを見る。
他の客たちも異質な魔法少女に違和感を持つが、開会式は続いて行く。
『対戦方式はトーナメントとなっていますが、組み合わせはここでくじを引いて決めて行きたいと思います』
魔法局や数名のあいさつの後に、早速大会が始まると思いきや、組み合わせはまだ決まっていなかった。
これは場を盛り上げるためでもあるが、不正行為の抑制の為でもある。
優勝すればかなりの賞金に加え、名誉が手に入り、余程馬鹿な事をしなければ、魔法少女としては第一線で活躍していくことができる。
なので、優勝できるなら誰もが優勝したい。
そして、賭けで優勝はもちろん3位までの順位を当てられたのならば、一生遊んで暮らせる金が手に入ることもある。
勝つための不正か、金のための不正か。
なるべく不正を減らすために、このような方法で組み合わせを決めるようにしている。
『くじを引く順番は僭越ながら私が適当に決めさせて頂きます。それでは、 北極代表のカルトトリステス選手からお願いします』
フェイが適当に選んだ選手からくじが引かれていき、10人全員の手に行き渡る。
『行き渡りましたね。それでは一斉に開封してください』
魔法少女たちがくじを開封すると、半透明の数字が大きく頭上に現れる。
同時に対戦表にそれぞれの魔法少女の名前が現れる。
『1戦目はアメリカ代表オーランタン対ミグーリア代表ハブランサスとなります。選手の方々は移動をお願いします』
滞りなく開会式が終わり、選手が移動を始める。
イニーの試合は5番目と最後になり、対戦相手は妖精局代表のデンドロビウムとなった。
また、最後はシード枠となっており、対戦回数が1回少なくなっている。
『さて、選手の準備が整うまでに今回出場となる選手の紹介をしていこうと思います』
『先ずは1回戦のオーランタンとハブランサスですね。どちらも代表となるだけはあり、優秀な魔法少女です』
オーランタン。
アメリカの代表であり、銃剣と数種類の魔弾で戦う魔法少女だ。
近中距離で戦い、新人ながらB級を倒せる強さがある。
少し癖がある性格だが、アメリカの期待の星である。
『えー、オーランタン選手の一言コメントですが、イニーフリューリング許すまじとの事です』
『何やら恨みがあるようですが、頑張って頂きたいですね。続いてはハブランサス選手です』
ハブランサス。
”始まりの日”以降に出来た新しい国であるミグーリア。
その代表であるハブラアンサスは土の魔法と棒で戦う魔法少女だ。
堅実な戦い方をしており、今のところ負傷らしい負傷をしていない。
また、個人よりも集団として戦う方が得意である。
『ハブランサス選手の一言コメントですが、イニーフリューリングの亡命をいつでも待っているとの事です』
『一応我が国の魔法少女なので、公の場での引き抜きは遠慮していただけると、ありがたいです』
「イニーったら何をやらかしてるのかしら?」
「世界中で魔物を狩ってるみたいだし、その時に何かしたんじゃない?」
出番でもないのにイニーの名前が2度も出された事に、マリンは呆れ、スイープが適当に返す。
実際イニーが魔物狩りをしてた時に2人の魔法少女と会っており、片方は魔物を先に倒し、もう片方は仲間の魔法少女を治したりしていた。
どちらがオーランタンか、ハブランサスかは言わなくても分かるだろう。
『おっと。次の選手の紹介の前に1戦目の準備が整ったそうです』
『試合開始の前に、試合のルールを改めて紹介します』
試合形式はデスマッチとなっており、ある程度の痛みは軽減される。怪我や血の表現はゲームの様になっており、誰が見ても安心できる仕様となっている。
試合のフィールドはランダムとなっており、開始する直前まで分からない。
勝敗はどちらかが死ぬか、負けを認めれば終了となる。
会場の真ん中に立体のホログラムが展開され、2人の魔法少女が映し出される。
今回のフィールドは砂浜となっており、ハブランサスの方が有利なフィールドとなるだろう。
『1戦目のフィールドは砂浜ですが、どう思いますか?』
『ハブランサス選手の方が有利になりそうですが、オーランタン選手の1撃は威力があるので、うまく誘い込むことができれば、良い戦いになりそうです』
『ありがとうございます。それでは新魔対戦第1試合……始め!』
フェイの掛け声と同時に、ホログラム上に開始の二文字が映し出される。
先に動いたのはハブランサスだった。
土の魔法で回りの砂を固め、動きやすい足場を作り、オーランタンを待ち構える姿勢を取る。
『自分が有利なフィールドで待ち構える。ハブランサスらしいですね』
『実況としては派手な方がありがたいですが、戦っている魔法少女にとっては勝つ事が大事ですからね』
オーランタンの銃撃をハブランサスは岩を出して的確に防ぐ。
業を煮やしたオーランタンが攻めに出て、ハブランサスが固めた足場に足を踏み入れる。
『おっと! 遂にオーランタンが攻めに出るが、オーランタンの足場だけが砂に変わってしまったー!』
『オーランタンの足場だけ魔法で操作しているのでしょう。中々精密な魔法の操作ですね』
オーランタンは足場の悪さに苦戦しながらもハブランサスを銃剣で攻撃するが、うまく踏ん張ることができず、最大火力を出せないでいた。
砂に足を取られてバランスを崩したオーランタンにハブランサスが追い打ちをかけ、先手を取る。
しかし、オーランタンもただでは転ばず、銃剣の一撃をハブランサスの右腕に叩き込む。
『相打ちのようですが、アロンガンテさんはどう思いますか?』
『ハブランサス選手は、攻撃を受ける際に岩で防御していたみたいなので、見た目よりダメージはないでしょう。しかし、オーランタン選手は体勢を崩していた分、ダメージは深刻でしょう』
時間の経過と共に、オーランタンの動きが徐々に悪くなっていく……。
『おっとー! ここでハブランサス選手の大技が炸裂だー!』
『資料によりますと、アバタールペスタと言うそうですね。聞こえているとは思いますが、補足しておきます』
ハブランサスは自身の棒と、無数の岩で作った棒を使い、オーランタンに連撃を入れる。
ハブランサスは最後の一撃とばかりにオーランタンを空中に打ち上げ、その下に尖った岩を作り出す。
打ち上げられたオーランタンはピクリとも動かず、そのまま落下を始め、岩に貫かれてしまった。
『試合終了! 接戦を制したのはミグーリア代表ハブランサス選手になります!』
『やはり、最初の一撃が鍵となりましたね。とても良い試合でした』
「熱い試合じゃったのう」
「ええ。あの一撃が試合の流れの起点となっていたわね」
「やっぱり、代表になるだけあってすっごいねー」
うたた寝している茨姫を放置し、1試合目の感想を話し合うマリンたち。
新人とは言え、代表になるだけありレベルの高い試合内容だった。
『さて1回戦目が終わった後に聞くのもなんですが、本大会で一番注目する選手は誰でしょうか?』
『そうですね。やはりイニーフリューリングでしょうか? 本大会では一番ランキングが高くなりますからね』
『そのイニーフリューリングですが、大会に出るに辺り、一波乱あったそうですが、本当でしょうか』
『……その件は彼女の出番になった時、お話しします』
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