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恋の後始末
妹の行方
しおりを挟む「千鶴!凪はどこに行ったの!?」
「単刀直入に言いますね。凪さんは今、澪の実家に帰っている最中です」
「じ、実家!?嘘でしょ!?」
目玉を所定の位置に戻せないままの加奈子を余所に、私の視点は千鶴一点に注がれた。
「なんか自分でもよく分からないんだけど
凪が今夜も明日も帰ってこないって予感だけは確かなんだよね。
あの子が全然近くにいる気がしなくって。こういうの昔にもあったのよ!でも、だからって明日も平日で講議もあるのに、何で実家なんかに!」
「何で実家に行こうとしているのか、それは凪さんご本人に聞かなければ分かりませんが、数日前に学務課で凪さんが休学届を出した時は暗い顔でしたよ」
「きゅ、休学届ぇ!?それって嘘でしょ?
アンタいつ見てた……ってそんなの今はどうでもいい。アンタ、凪から何か聞いたの!?」
「いいえ、そこで凪さんが教員に『実家に帰る』と告げているのを立ち聞きした後、僕はそのまま澪の家へと足を運んだので、特に話かけませんでした」
その時の千鶴の口調が凪なんて気にも止めていないように感じられて、私の語気が思わず荒くなった。
「アンタの1日の行動パターンが謎すぎるのは百歩置いといて!何で話しかけなかったのよ!そんな普通じゃない会話してるのに!私の妹よ!?その日のその時に、私に教えてよ!バカ!!」
「ええ。ですからその時、すぐに澪に教えようとも考えましたが、そうしたら澪はすぐに実家に帰ってしまうでしょう?」
「あったり前でしょーが!!あの子とは喧嘩したって殴り合ったって、側にいないと意味ないんだからね!」
「だからですよ、余計に教えたくなかった」
思わず千鶴の着ている白いシャツの襟を鷲掴みにし、乱暴に振り回した。
しかし、甘やかな夜に見せるとろけそうな瞳はどこかへ消え失せたかのように、彼は温度の持たない冷たい真っ直ぐな眼で私を見つめている。
「普段から疎ましく思う妹がいなくなって、良かったと思うのですが」
頭に血が上る前に、平手で千鶴の右頬を叩き付けていた。
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千鶴のキャラこんな感じなんですねwギャグっぽい雰囲気好きなので応援してます!
これから先の展開に期待、です(*'▽'*)
投稿がんばってください‼︎
感想いただけてとても、とても、とても、嬉しいです(感涙)
拙い駄文ですが、これからもお付き合いいただけるよう、頑張ります!!
ありがとうございます!!