上 下
391 / 399
恋の後始末

キャリーバッグの中身は…

しおりを挟む


「ななななに!
え、携帯?バイブ?え!?」


何が起きたのか分からないまま、携帯をキャリーバッグの中にしまい忘れたのだろうと、鳴り止まない心臓に言い聞かせ、バッグの留め金に手をかけた。

しかし次の瞬間には、今着ているコートのポケットの中で携帯の形状らしき膨らみを確認してしまい、私の心臓は先ほどのキャリーバッグのよりも高く上下に弾んだ。



——ガッターン!!!



「うわぁあああああー!!!」



「うわぁあああああー!!?」



「うわぁあああああー!!??」



「うわぁあああああー!!うわぁあああああー!!」



「うわぁあああああー!!てめぇええええー!!」



「みおおおおおおおおおぉぉぉー!!」



咄嗟の防御で勝手に飛び出た私の右手の甲が千鶴の頬骨に当たり、千鶴は世にも不細工な顔でキャリーバッグごと背からひっくり返った。


「み、お、あ、痛い、腰が、ずっと固定されていたから痛い痛い痛い……!」


「知るか!!!痛いのはこっちの心臓じゃボケェええ!」


「ああ、痛い痛い。澪の衣類の匂いや生活臭が充満されたキャリーバッグの中で、二つ折りになっていた僕の腰が痛い痛い」


「んっとにもー!アンタってば相変わらず!
キャリーバッグの中に潜んでいた件は後でたっぷり説明してもらうとして、中に入っていた服やら歯ブラシはどこにやったんだよ馬鹿!」


「分かってるくせに、そんなの僕のコレク」

「ああ馬鹿は私だよね、何で聞いちゃったのかな」


「本当ですよ。何で聞いちゃったのカナ?」


「ああん?喧嘩売ってんのかテメーこら。
今、絶賛機嫌悪いんだよ私は」


「ッフ。産まれてこの方、そんな物を販売した覚えもありません。まあ澪がどうしても欲しいと言うのなら喜んでお売り致しますが」


「ああもう。知らない。アンタなんか。ばか。疲れた。もう」



心身ともに疲れ切った私は、冷えたフローリングの上に寝転がり、仰向けになった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡

雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...