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恋の片道切符
騒々しい病室
しおりを挟む——ガラ!
「ちわーッス!アネゴ、お見舞いに来やしたぁ」
ああ、また賑やかなヤツが来たよ……。
「一体何です、今日は同窓会ですか。
澪と僕の甘美なる看病イベントを邪魔する愚か者は死ねば良いのに」
「だ、ダンナ!
いぃっ、いらしてたんスね!
そんな邪魔なぞする気は毛ほどもございませんよ!?
オレはただアネゴのお見舞いに……」
「死ねば良いのに」
「2度も言われたぁー!」
鴉頭とモップ頭だけでも私を煩わすのに、加えて今はマッドな看護師がいる。
ますます呼吸が辛くなってきたわ。
「まっ!松島くん!!」
「あれー?満月さんじゃないッスかぁ!元気でしたかぁ!?」
「はい!」
千鶴の迷惑そうな様子とは真逆に、総大くんの満月さんに対する雰囲気は同窓会で久方振りに会った旧友のよう。
「あ、アネゴ!
これ見舞い品のCDッス。
暇な時にでも聞いて下さい」
「え、CD?ありがとー」
「松島くん、まさか高校の時の夢が……?」
「覚えてたんスか!?そうなんスよー。オレ、今年メジャーデビュー控えてるんですわー」
「め、めじゃーでびゅー!?
ちょっと、マジ、それって……」
話に着いて行けない以前に何かが心の中で引っかかったけど、それは千鶴の声で掻き消された。
「澪、またカナブンが胸の上で羽を休めていますよ」
話題に飽きてしまったのか、千鶴は懲りもせずにカナブンの件に執着してきた。
「付いてない!いい加減にしろーっ……つ……ううっ……」
「澪?」
調子に乗ってしまい、叫んだのがいけなかった。私は苦しさのあまりに千鶴にもたれ掛かる。
息が、出来ない。
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