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恋の片道切符

僕の甘美なる癒しは神々の息吹の如く作戦

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「そうですか、僕の看病で少しでも病が癒えればと思っていたのですが。そう、題するならば『僕の甘美なる癒しは神々の息吹の如く作戦』ですかね。
僕が澪を癒して癒して体の芯までとろける程癒そうという思惑で……」


「そんな作戦御免被る、黙れ」


そう、こんな調子でコイツは真剣な話を避けてくるのだ。


「大体ね、私まだ納得してなッ……ふッ……!
ゲーホゲホゲホゲホッ!!
うえ~ぐるじぃ……」


「澪、辛いのなら喋らず僕の胸の中で安静に」


千鶴は話こそ逸らすものの至って真剣に私の心配をしてくれるワケだが、どうにもピントが外れている。

本当に気遣ってくれるならただ黙っていてくれよと思いながら、私は骨張った手を払い除けて千鶴の顔をギッと睨み付ける。

長い間植え付けられた条件反射とは恐ろしいもので、いくら自分が千鶴のことを好きだと自覚していても、素直にこの体を委ねることが出来ない。

何度かそうした記憶はあるけれど、前とは話が違うのだ。

正真正銘、私はコイツに惚れているのだ。

そう、自覚する前と後では話が違うのである。

その証拠に、ほら、今ちょっと手を払い除ける際に指先が触れただけで脳天から爪先にかけて電流が流れたよ。

これってつまり、そーいう現象でしょ。


「だ、だいじょ、ぶ。
うん。大丈夫だから」


苦し紛れにそう言った後『何が大丈夫だ』と自分に呆れながら、ブンブンと大袈裟に手を振って千鶴の接近を防いだ。


「……そんなに辛いのですか。
可哀想な澪。代わって差し上げたいのは山々ですが、今の僕に出来る事はただ貴女に尽くす事だけ……。
ですから、ゲフン、今着けているブラを外して差し上げましょうね。さ、背中をこちらに」


なんてイイ笑顔なんだ。

 
 

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