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恋の焼け跡④

今こそ必要な人

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私は脳細胞の少ない頭を振り絞り、生物の授業の内容を思い出していた。

確か、O型同士の間にはO型しか生まれない気がする。

……よく分からない。
っていうか、やっぱり星座だの血液型だのは信用できない。
私はそういった分類に分けられ分析されるのが、この上なく嫌な性分らしい。

だって、同じ星座で同じ血液型なら同じ人間なの?
そしたら自分と妹は占うまでもなく、実際に同じ遺伝子を持っているワケだから同じ人間のはずだ。

だけど、どう?
まるで正反対じゃない。いつも妹と比較され育ってきたのだ。

この世に占いが存在する必要があるのだろうか。


ぼんやりと、見当たらない部屋の隅を探した。

広すぎる。

ウチのマンション何軒分の広さだろうか。
ふいにヤニの欲求が始まった。

何だか無性にイラつく。

別に弥生ちゃんにそう感じているワケではない。
だけど、イラつく。

途方も無い不安や倦怠感が全身を駆け回る。
実習の疲れが、どっと出たのだろうか。
胃の辺りがヒリヒリ、ズキズキ。
痛みを通り越して泣いている。

施設での目まぐるしさに麻痺していた痛み。
無防備な今の状態では、もう耐え切れそうもない。

ああ、どうしよう。

胃が、ヒリヒリする。

痛みを通り越して泣いている。



「……お姉様、大丈夫ですか?」



真っ白な小さな手が私の頭に乗せられた。

今は目の前の少女の方が私よりもずっと大人。とても心配そうな、悲しそうな瞳を向けられる。

会いたくてたまらない、あの瞳によく似た瞳。
漆黒なのにキラキラ光っている。

キラキラ。
キラキラ。

何もかも馬鹿みたいに輝いていた、私の影を照らす光。

早すぎて、あっと言う間に私の前を通り過ぎて行った。


今こそ、必要なのに……。

 



 

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