Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました～

恋の焼け跡④

藤堂家の血筋

「あのね、弥生ちゃん……。
宇宙でキスなんかしたら死んじゃうわよ？」


小学生だから知らないのか？そう思ったので、学校の先生のように優しく教えた。


「知ってますわ！
でも、愛の力が不可能を可能にする……それが世の定説ですわ！」


しまった……。この子、私よりも一枚も二枚も上手だ。


「ほらほら、弥生。せっかくだからばあちゃんに構わず、澪ちゃんと遊びに行ってらっしゃい？お小遣いあげるからね」


すると藤堂さんは懐をゴソゴソと探り始めた。


「これで足りるかしらね？飴でも買いなさい」


「まあ！ありがとうございます、おばあ様！大好きですわ！」


えぇ～!?ちょ、ちょっと待て！！
諭吉数人は懐から飛び出してきたよ！？飴ってそんなに高いの！？
ってか、利用者さんのお金は職員が預かるんじゃないの！？

様々な疑問が駆け巡った時には遅かった。
だって、この人達は千鶴の家族なのだから。その理由をもってして、理屈など通用しないのである。

私が懐かしさを込めた溜め息を吐いていると、藤堂さんはお金のみならず次から次へと物を懐から取り出してきた。


「あ、それと弥生！これも持って行きなさい」


「ちょ、藤堂さん！それ、入れ歯だから！そんな物をお孫さんに……って、それは職員さんの腰痛ベルトだから！どこで手に入れたの！？」


それよりも、その四次元ポケットをどこで手に入れたのかを知りたいところだ。
どこまでこの家族は千鶴属性なのだろうか。


「まあ、おばあ様！ありがとうございますっ」


「いや、弥生ちゃんも入れ歯と腰痛ベルトを後生大事そうに受け取らないで！」


あああ。
誰かもう１人くらいツッコミ要員として応援に来て。

ついに私が頭を抱え始めた頃、再び藤堂さんの記憶が正常では無くなった。