Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました～

恋の焼け跡④

誰かさんを彷彿とさせる

「あらあら！自己紹介はどうしたの？マナー違反ですよ、弥生」


「あっ、そうでしたわね……！
初めまして！わたくし、藤堂弥生といいますっ」


「……え、あ、ハイ。初めまして」


私は思わず後退りする。
条件反射のごとく体が逃げの体勢に入ってしまった。
その上初対面の女の子、それも小学生くらいの幼い子に苦笑いを浮かべてしまう始末だ。
だって……何だかこの感覚、非常に懐かしい。

それもそのはず。
この、弥生と名乗る女の子は初対面にも関わらず、ずずいと前に出てくるなり必要以上に私に接近してきたのだ。

何だか……誰かさんを彷彿とさせる。


「貴女が澪お姉様ですのね！？
ずっと、ずっと、ずっと……！
お会いしたかったですわぁ～！！」


——ガバッ！


「ひっ！！」


ここはアメリカではない！！
私は危うくそう叫びそうになった。
弥生という子が、遠慮無しに私に抱き付いてきたからだ。
というか、飛び付いてきたという表現が正しい。


「あ、あのっ、ちょっと……」


私は密着してくる小さな体をさりげなく自分の体から引き剥がし、引きつった声でそう言った。


「あ！ごめんなさい！
わたくしったら興奮して、つい……」


てへ、と言わんばかりに舌を出して弥生という子はそう言った。
その様子を藤堂さんは微笑ましく見守っている。

何だかもう、目眩がしてきた。


「あらも～、弥生ったら！澪ちゃんも喜んでるわよっ」


おい。
どこをどー見たらそう見えるんだ？
目に入れても痛くない孫を、目に入れっぱなしなんじゃないの？

思わず大好きな藤堂さん相手に、容赦ない脳内ツッコミをかましてしまった。