Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました～

恋の焼け跡③

止まらない涙

「土屋……澪です」


「あら！澪ちゃん！久しぶりね！元気だった？会いたかったわぁ。
そう言えば、千鶴とはその後デートをしたかしら？」


藤堂さんがクスクスと笑いながら楽しそうにそう聞いてきたものだから、私は思わず赤面し固まってしまった。


「あらまあっ！その様子じゃあ、キッスもまだのようね！」


「キ……！？」


キッスときたもんだ。
侮れない、藤堂夫人……。


「あら！アナタ、名前何て言うんだったかしら？」


「……あ……、澪です」


悲しい。だけど、藤堂さんだって好きで忘れているわけじゃない。これは、仕方のないことなのだ。

でもやっぱり、悲しい。



「あら、澪ちゃん！千鶴は元気にしてる？」


「はい、とっても」


「……？見かけない顔ね、実習生さんかしら？
あ！そうだわ！ウチの孫にぴったり！ねえ、ウチの孫とお見合いしてみない？ねえ、澪ちゃん」


「……はい」


「千鶴というのだけど、賢くて優しい子よ。
本当は長男の紫伸を紹介したいところなんだけど、紫伸はまだ結婚したくないだろうから。
でも千鶴は、皐月さんをちゃんと母親としてみているはずよ。
周囲がどう言おうと、貴女達は親子だわ。たとえ……紫伸が……千鶴を、ああ、ああ、ああー！！やめて！！紫伸！！やめて！！どうしてそんなことをするの！紫伸ー！！」


「……！？
藤堂さん、大丈夫ですか！？」


「……あら、見ない顔だけれど、実習生さんかしら？
そうそう、孫が貴女に会いたがっているのよ」


「……はい」


「紹介してあげるわね」


「……は、い」


涙が溢れる。
体の芯から溶けてしまいそうだ。


「澪ちゃん、千鶴が貴女のことをとても気に入ってたのよ。
ふふふっ、貴女の話ばかりしていたわ」


「……うんっ」


涙が止まらない。