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恋の焼け跡③

大ピンチ

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ところがどっこい。普段はどんなに祈っても決して神様は私の願いなんか聞いちゃくれないのに、どうしたことだろう。
『運良く』今回の願いはちゃっかり聞いてくれたらしい。

なんとマジで墜落してしまった。
青木主任のミサイルが、私の頭上にね。


「…………土屋さん、明日から来なくてよろしいです」


「え?」


しかしこんなにも静かに落ちるミサイルが、あるだろうか。
青木主任の顔面が怒りで歪んだと思った次の瞬間、我が目を疑うほどの穏やかな表情を見せてきたのだ。


「もう来なくてよろしいと、言ったのよ。先生にもちゃんと私から言っておきますから、もう来ないで下さい。実習は中止」


唖然とした。
確かに私の態度は客観的に見ても良いと言えたものではなかったが、だからと言ってレッドカードが出るとは思いもしないところだ。


「……え、あの、」


「いえ!いいの、アナタの言い分はよく分かりましたから!」


青木主任は私の目を見ないまま、問答無用に手の平を突き出してきた。

その後は早かった。
数十分で畑野先生が私のいる施設まで駆け付け、そして地に頭を擦り付ける勢いで、青木主任にとにかく謝っていた。
だけどそんなんじゃ主任の意見は変えられなかったみたい。

なんてことだろう。
私、本当に実習取り止めの処分が下るらしい。


「……土屋さん、私、アナタを信じていいのよね?まさかアナタがこんな日誌を書くとは、夢にも思えないもの。アナタは本当に真面目だし、その、妹さんが悪戯でもしたんでしょう?ね?」


普通の先生なら頭ごなしに怒るんだろうけど、畑野先生は菩薩を思わせる柔和な表情で私に話しかけてきた。

非常に見覚えのある、とある用紙を私の目の前に突き出しながら。


「あ」


思わず全身が浮いた。
幽体離脱というのはこんな感じだろうか、あまりのショックにそう思った。

こともあろうに昨夜ふざけて書いた日誌を、書き直さずそのまま提出してしまったのだ。
そう、タイトルを付けるとすれば『ボス・フェアリー青木』。

つまり青木主任に宛てた超馬鹿馬鹿しい、しかしあまりにも酷すぎる内容の悪口が、本人に晒されたということである。

あ、胃が破裂しそう。




 

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