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恋の焼け跡③
壮絶な姉妹喧嘩
しおりを挟む「何コレー。タール14ミリとかありえんしー」
テーブルの上に置いてあった煙草の箱を手に取ると、私に軽蔑の眼差しを注ぎながら凪は言った。
私は1本を吸い終えると、それを乱雑に灰皿に押し付けた。
「……いいじゃん、別に」
喉にヤニがべっとりと付着しているようで、正直気持ちが悪いけど。
「イイじゃんとか、無いしー。肺おかしくしても知らないよー。
私最近風邪気味だから、お姉熱出ても知らないかんねー」
「それは良かったんじゃない?
私が熱出て肺炎にでもなって入院すれば、アンタは厄介者から解放されるワケだ。
それで肌荒れも治って、サイコーじゃない」
今のは口が勝手に滑ったからであるわけで、私が意識的に放った言葉では無いはずだ。
「……はぁ~?何ソレ、感じ悪いんですけど。誰がそんなこと言ったのさ」
「別に」
「あーあ、被害妄想とかマジやってらんない。千鶴さんが理由無く出て行ったのだって、本当はお姉のそーいうトコが嫌だったんじゃない?
ってーか、何であんな人がこんな女を好きなのかワケ分かんないし。
やっぱあの人頭おかしいーよ」
――!!
突然、ガターン!!と巨大な音がリビングを震動させた。
テーブルが天地逆さになって吹っ飛んだ音だ。
思い切りテーブルを蹴り飛ばしたらしい。私が。
窓際の壁まで綺麗に弧を描いて飛んでいった。
このような物理の法則にその場にいる人間が驚く間も無く、その行為にキレた凪はテーブルを蹴った張本人である私の頬を、ピシャリと引っぱたいた。
その行為に更にキレた私は、凪のコテでグルグル巻きの髪を乱暴に引っ張った。
それが引き金でマジギレした凪は、凹凸にデコレーションされたクソ長い爪を私の頬だとか腕だとか、とにかく体中に食い込ませてきたので、体のあちこちが真っ赤に腫れ上がった。
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