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恋の焼け跡③

災難な実習生活

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「あ~あ!私だって忙しいのよ!来月から入ってくる新人の教育だってあるんだから!
アナタみたいな実習生に費やす時間が勿体無いわ!」


「あ、青木さん。何もそんなに言わなくても……」


私の隣にいる河本さんが、オロオロしながら怒り心頭の青木主任をなだめた。


「河本くんは黙ってて!
もー、ありえない!
何で車椅子への移乗も満足に出来ないのよ!
学校で何を勉強してきたの!!」


「すみません」


「……もういいわ。
今日から土屋さんは、食事介助とコミュニケーション以外の行為は行わないこと。いいわね?」



最悪。
それって、ほとんど何もするなって言われたも同然だ。

だけどそれは私に取って、かえって都合が良かった。

こんな虚ろな状態の私が介護をして、利用者さんが怪我でもしたら大変だもの。
いや、大変なんてものじゃない。
もし転倒させて骨折でもしたら、その方は一生寝たきりになる可能性だってあるのだ。
重大問題である。

それに口答えなんて決して出来ない。何故なら、そもそもの原因が私にあるのだから。

実習が始まってから約1週間が経つけど、私ときたら始終ぼーっとしていて人の話はまともに聞けないし、体に力が入らないから利用者さんの体を持ち上げることも困難だ。

まさに青木主任の言う通りである。『学校で何を勉強してきたの』ってね。


だけどもう、何もかもがどうでもいい。


興味の無い座学も、腰を痛めるデモンストレーションも、本当は嫌々やってきたことだから。

そうやって自虐的な自己分析をしたところで、何も変わりやしないのだけど。

 



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