Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました～

恋の焼け痕

数分後の未来

千鶴によく似た火傷の男は私から視線を外すと、公園に近付いて来た黒い車にそれを移した。



「迎えが来たようだ。
……とても残念でならないよ。
やっと愚かな君に再び会えたというのに」



不気味にそう呟くと、その男はノロノロとジャングルジムから下りて、立ち尽くす私とすれ違った。


そして肩越しに、こう告げてきた。



「……また近い内に、君は僕を訪ねるだろう。
君自身の意思で、僕を求めるだろう。君は永遠に、僕に引き寄せられるんだ。
何故って、君が未だにその目で僕を見て、あの男の名を呼ぶのだから。

でもきっと、あの男は君の下から去って行くよ。
これは予言なんかじゃない。数分後の未来だ。
君はあの男を失うし、あの男も君を失う。

僕が最愛の人を失くしたように、お前らもそうなることだろうね」





真っ白な雪景色だけが、今の私に理解出来るわずかな情報だった。


理解不能の言葉が、鼓膜を通して頭の中に宿る。

頭蓋の内側に、千鶴によく似た低い声が響く。

ゾクゾクと、背中に電気が走る。



男は黒い車に乗り込むと、窓の向こうから私を見つめてきた。

車はすぐにエンジン音を鳴らして消えて行ったけど、まとわりつくようなあの視線が、未だに全身に張り付いている。

固唾を飲むと、渇き切った喉に痛みが走った。




吐き気が、する。