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恋の焼け痕
妄想祭り
しおりを挟む「私が、いつ、そんな格好を、しろと?」
私は不快に全身をうねらせた。
思わず呼吸が変になって、言葉が途切れ途切れになってしまう。
「フッ、愚問ですね。
この僕のラッピング姿に悶えている癖に、全く素直じゃないんですから。
今までの澪の僕に対する異常なまでの『照れ』を考えれば、その反応は想定内ですよ。しかし僕には分かります。
貴女が脳内で僕を全裸にして妄想している事など、手に取る様に……」
「黙れ。断じて私はそんな格好をバレンタインにしろと命じていない。神に誓っても」
「おやおや、まだ寝惚けている様ですね。昨夜、貴女は僕にこう言った筈ですよ、『プレゼントなんかいらないっ、だってもう千鶴っていう最高の贈り物が……きゃっ!これ以上もう言えないよ!だって、ピンクのおリボンに包まれた千鶴なんか見たら、私……私っ!』と、夢の中で」
ここまで断定されたら、本当に私は寝惚けていて自分で言ったことを忘れているみたいに思えてきた。
「何が『こう言った筈ですよ』だ!それはオマエの夢の中の話だろーがボケ!」
――バキャッ!
「ヴァーボ!!」
突き刺すような私のストレートが、リボンに巻かれていない千鶴の顔を強打した。
ああ、少しスッキリしたわ。
これで寝不足によるストレスも半減された感じ。
『ヴァーボ』だとか意味不明な言語を発した千鶴は、全身をリボンで拘束されていた為、無防備にも顔面からフローリングの床に倒れた。
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