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恋の焼け痕

バレンタインは祝日!?

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「あー……、イイんじゃない。
バレンタインおめでとう」


「何よー!棒読みで人のことバカにしてぇ!
ふんだ、お姉はイイよね。本命サンがいるもんね。
あ~あ!そうやって飢え子の私を見下してればイイんだわよーだ!
もう、もっきゅもきゅチョコ食ろうてやらがよーだ!」


おうおう、何言ってるかさっぱり分からないぜ!
せめて日本語喋りやがれ馬鹿妹。


「はいはい、おめでたいね」


「んなぁ~!もう、お姉のバカバカ!バカ!
チョコ食って肥えて死んじゃえ!」


何故、そんな残酷な台詞をブリッコしながら言えるんだろうか。


「……はいはい、デブって死ねば満足かしら?もう学校行くね。
さいなら」


そのチョコとやらを一欠片も口にする予定が無いのに、どうやったら肥満で死ねるのかしら。

そう思いながらバッグを乱暴に肩に掛けて、冷たい玄関のドアを押した。


――ギィ、ガチャン


そして、1秒も待たずにドアを引き直した。
見てはいけないモノを見てしまったからである。

ねえ。時代遅れの私だったケド、誰かもう1度だけチャンスをちょうだい。


「ねー、凪ぃ。私、今日、やすむ。だって、バレンタインなんだからさ!」


「はぁ~?」


シャコシャコと軽快な音を掻き鳴らして歯を磨いていた凪が、洗面台からマヌケな顔をひょっこり出してきた。


――ガシャコ、ガシャン!


そうそう、休むんなら玄関の鍵を掛けてチェーンも掛けて!
これで完璧に休めるわ!戸締まりを厳重にしたコトだしねっ。

語尾に星印を散りばめ、ピースのサインをかます勢いで私は自分の寝室に走る。

熱!そう、熱が出たから休むの!
バレンタインだし、熱あるし、これって正当な理由であって決してズル休みなんかじゃないわ(ご存知、前者はズル休みである)!

 
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