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恋はさざ波に似て③

後頭部に接吻

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「……~っ。
澪……ったら、僕がビールを買ってくるのに1時間もかかったからと言って、そんなに怒るなんて……
本当に可愛い人ですよ貴女は」


「はぁ!?私の家の近くのコンビニだよ!?
……嘘言わないでよ、車飛ばしても往復で4時間だよ?」


「1時間です。
愛しい人を待たせるには、永遠の様に長過ぎますよね」


え、60分が永遠だなんて初めて知りましたが。


「どんだけ人間離れしてるのよ、っていうかホラ吹くのも大概にしろ。あんま嘘ばっか言ってると信用失くすわよ」


「お褒めの言葉は嬉しいですが、僕は貴女に嘘を吐けませんよ」


いやいや、バチコーンってウインクされても信用を失くす一方だが。

あと、『人間離れ』って褒め言葉だっけ?


「1時間でどうやって……って、あのね。私、かなり頭痛いから!あんまりくっ付かないで。
そっとしといて下さいな」


グルンと、千鶴の顔が見えない方へ自分の頭を向ける。
これでヤツには私の後頭部しか見えないはずだ。


「薬、飲みますか?
買ってきましたよ」


そんなことを言いながら、ちゃっかり体に腕を回してきた。
だからこの紺色の袖をギチギチとつねっていたんだけど、
ヤツは不意を突くかのごとく、こともあろうか私の後頭部に接吻をかましてきた。

せっぷん。つまり、チューだよ、チュー!


「……なっ!?今何した!?
マジいっぺん死んで来いよオマエ!頭痛いっつーのに、更に腐ったらどう責任取ってくれんの!
頭が腐り落ちるわ!」


「腐り落ちる前に、口にもしたいのですが」


あああ、頭痛い。
ていうかすでに腐りそう……。

どうしよ。



 
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