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恋はさざ波に似て③
哀しい顔の少年
しおりを挟むああ、大好き。
呼吸が絡まるほど、大好き。
肺が潰れてしまうほど、大好き。
背中の、大きな傷痕がジクジクと痛むほど大好きだ。
背中の、あなたに傷付けられた
この傷痕さえも……愛おしい。
燃えるように蘇る、傷痕がうずくよ。
背中が、痛い。
頭も、痛い。
頭、グルグルと、螺旋を巻いている。
誰かが土足で階段をはい上がっている。
頭が割れそう、止めて欲しい。
ズキズキ。
ああ、
これって二日酔いってヤツだ。
まどろみの中、じわじわと覚醒が迫る。
白いシーツと白い枕に包まれていた私は、ゆっくりと瞼を開く。
ここはどこ、私はだぁれ?
だなんて冗談を、今まさに口にしそうになった。
だって、ここがどこで私が誰なのか一瞬分からなかったのだから。
あの愛おしい感情を、私は知らない。
意地悪な顔が好きだなんて、
そんな無謀なことも決して想わない。
だから分からなくなった。
私は大嫌い。
夢の中にいつも出てくる、
あの哀しい顔の少年は大嫌いだ。
だって、私を……
背中を……
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