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恋はさざ波に似て②
アイドルの嘘
しおりを挟む「やーっぱ、嫌いじゃないかも~」
「私は、今ので決定的に嫌いになったわ」
「でも僕は嫌いじゃないもーん」
ニコニコと無邪気な笑みを浮かべ、私の方へ顔を寄せる南条セイヤ。
その顔は、先ほどまでの残酷な一面をうっかり忘れてしまいそうに朗らかだった。
私の方も、凍り付いた危機感をすっかり溶かしていて。
何だか……結局コレって、
酔っ払いの余興に付き合わされたってコト?
まあ、私も人のコトは言えないけどね。
靴下片方脱げてるしさ。
「じゃあ~、特別にミオちゃんだけに教えてあげるよ。
ファンクラブの特報にも載せたこと無い、特別なヒミツ」
「いやぁ~、知らなくて結構ですよ」
「あのね、」
「いや、だから聞いてた?
知りたくもないから」
No!と首をブンブン横に振りながら私が後退りするも、
ご機嫌な南条セイヤは、真横に広がった口を塞ぐ気配を一向に見せなかった。
「僕の名前って、ホントは
『ツカサ』って言うんだ」
「はぁ!?」
「『セイヤ』は芸名。
三ツ星旅館が僕の名前から取っているだなんて嘘!
三ツ星旅館なんて僕が産まれる前からある、伝統的な旅館なんだから。
むしろこの旅館の名前を、僕が拝借しちゃったの。
この場所から見える星が好きだから、『星夜』って付けたの。
『南条司』がまだ無名で、若かった頃にね。
あ、今もじゅーぶん若くてピチピチだけど、うん。
で、叔父が……あ!町長がぁ、
口裏合わせてくれてんの!
ファンの子達も、嘘みたいに信じてくれて……
ホントにみんな……
バッカみたーい!」
――キャハハ!
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