上 下
171 / 399
恋はさざ波に似て

頭に血が昇るほどのイイ男

しおりを挟む


「ねぇ~……。
セイヤだよ、セイヤ」


「分かってるって。落ち着きな」


「セイヤの泣きボクロ、私好きなんだぁ」


「私もー。
あとタレ目、色っぽくない?」


「イイ!イイ!最高!
あー鼻血出そ」


鼻柱が背中に当たりそうな距離の中、私のすぐ前の女子達のお喋りが嫌でもハッキリ聞こえる。

まぁ、内容は30分間同じ会話を録音機のようにただ繰り返しているだけなんだケド。


それにしても……南条セイヤのどこがイイのだろうか。

いや、私だって芸能情報にそこまで疎くないから、全く理解不能というワケじゃない。
だってテレビを何気無くつけてみればいつも出てくるんだもん。


現代人特有の小さな顔、細長い手足に、どこか儚げな色気。

加えてある一定の女子のストライクゾーンを狙ったかのようなタレ目に泣きボクロ。
それがセイヤフリークに取っては鼻血モノ、らしい。

鼻血……ねぇ。

興奮して頭に血が昇るほど、イイ男にも見えないケド……。
そこまで目が離せないほどのイイ男なら、もっといると思う。


例えば、そう……例えば




……千鶴とか。




ち、千鶴!?

ちょっと、私アイツをイイ男だとか例え頭の中の独り言だからってじゃなくって別にあのその例えばの話で南条セイヤよりかはって話で決して『ふん、あんな男より千鶴の方がカッコイイわよ』だなんて思ってなんかいない!


……落ち着け。


ああ、後頭部から背中にかけて脂汗でびっしょり。
妄想で体力削るとは思いもしなかったわ。



短い溜め息を漏らしながら見当たらない自分のつま先を何気無く探していると、次第に場内のざわめきが一層大きくなった気がした。

……あ、じゃなくて、本当に騒がしくなってきた。

やっと当人のお出ましか?
早いとこ登場して終わらせて欲しい。


それで、やっと解放されると期待に胸を膨らませた矢先に待ち構えていたのがコレ。

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...