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恋の矢印

全部くれないなら、全部いらない。

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「じゃ、どんな殿方なら自分が変われると思います?」


「ん~。言ってもイイケド、
引くよ?」


「またまた。ここまで話しといて。」



「うん、そだね‥‥。

‥‥私は、

地獄の果てまで着いて来てくれる人がイイ。」



「‥‥アネゴ。」



「全部くれないなら、全部いらない。
‥‥分かりやすいでしょ?
極端すぎて。」



そう喋ると、私は無性に可笑しくなってきて笑い始める。

あまりにも、滑稽で。



「いや、分かりやすいくらい言葉で説明出来るなら、
さっきのナゾナゾの答えも解くことが出来るんじゃないッスか?
まずは分析して、自分の望むモノを言葉に置き換えてみることが
ヒントッスから。」


「ふふ。女は特に言葉を欲しがるしね。」


「確かに。」




いたずらっぽく笑い合う私達。

それは子供のようなあどけない顔にも見えるのに、

どうして心はこんなに複雑に絡んでしまったのだろう。

どうして人は成長すると、謎解きに自ら嵌ってしまうのだろう。


もどかしいったら、
ありゃしないよ。


だから、
こんなもどかしい想いを‥‥


分析して、解体して、
無に還して欲しい。




『千鶴ニナラ、出来ルカラ』




頭の隅の、もっと奥の方から、
悪魔が囁く。

いや、
もしかしたら天使かもね。


でも‥‥アイツをまともな性格にしてくれるんなら、
悪魔でも天使でも
どっちでも構わない。
 
 
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