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恋の矢印
総大くん
しおりを挟む「そ、総大くん‥‥!?ちょっと、何でそんなトコで寝てるの?ビックリしたじゃない‥‥。」
真面目な話。
帰宅早々、首だけ出した人間と目が合ったら誰でもビビるよ。
「あ‥‥やっぱ、凪じゃない。」
「そう。凪じゃないわよ、全く。
自分の彼女の顔くらい、ちゃんと頭にインプットしときなよ?」
私は相変わらず首から上だけを覗かせている妹の彼氏に、ウンザリとそう言った。
そう、この風変わりな人物こそが
凪の現彼氏の『総大くん』だ。
「‥‥こんにちは、アネゴ。」
「誰がアネゴだ。」
決して自慢にはならないけど、
あの凪は、姉の私から見ても十分に男からはモテている。
その男共の中から選び抜いた彼が、寄りによってこの人だ。
何て言うか‥‥外見からして千鶴とは正反対かもね。
脱色しまくったであろうダメージヘアは灰色だし、
おまけに鼻頭まで隠れるくらいに長い前髪のお陰で、今まで1度もまともに目を見たことが無かった。
服装も泥だらけの作業着か、穴だらけのジーンズときたもんだ。
まぁ、妹の彼氏のことを私がどうこう言う筋合いは無いんだけどね‥‥。
そんな感じで、私が姑のような愚痴を脳内で渦巻かせ、頭をガックリ下げた時だった。
急に目の前に圧迫感を感じた。
ふいに心臓が、跳び跳ねた。
「おや。どこの可愛らしいお嬢さんかと思えば‥‥僕の愛しい澪じゃありませんか。」
いつの間にかゲームから離脱した千鶴が、ワープしてきたかのごとく私の視界に飛び込んできた。
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