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恋の忘れ形見
知られたくない事。
しおりを挟む「澪と凪さんは、同学年ではないのですか?」
「‥‥聞いてたの?
さっきの会話。」
「はい。そんなつもりは無かったんですが、つい立ち聞きを。」
スリーサイズを聞かれた方が、何だか良かった気がする。
私はサンドイッチを食べながら抑揚の無い口調で答えた。
「凪は現役で短大に入ったけど、私は浪人して1年遅れで同じ学校に入ったの。まぁ、つまりは滑り止めの学校に仕方なく入ったってことよ。お分かり?」
「ああ、なるほど。
それじゃ、第1志望はどこか違う大学だったんですか?」
「何、知りたいの?」
「ええ、澪のことは何でも。」
私はハムサンドを1つ食べ終えると再び煙草に火を点け、まるでカウンセラーのように質問を続けてくる千鶴に冷たい台詞を投げた。
「そう。アンタの言う通り、第1志望は地元の国立大学だった。
で、その大学を受けたんだけど見事に落ちちゃってさ。
仕方なく次の年に凪と同じ短大を受けたのよ。
また第1志望落ちたら凪と同じ学校に入れって‥‥両親が。」
「そうだったんですか‥‥。
それで、今の学科は福祉系ですよね。やっぱり介護を学びたいから選んだんですか?」
「‥‥いや、別に介護を望んでたワケじゃないのよ。」
「‥‥‥‥。」
会話の内容に顔を歪ませている私を見つめながら、千鶴は真剣に聞き入っている。
それが逆にやりづらくて、無意識に俯いてしまった。
「‥‥凪と別な学科なら‥‥どこでも良かった。
保育も介護も、これと言って興味は無いしね。」
そんな覇気の無い言葉を発すると、何故か頭の裏側で、藤堂さんのおばあちゃんの顔が思い浮かぶ。
「まぁ、入学したからにはちゃんとやろうと思って。
講義は真面目に出てるし、成績も悪くないし。
実習だって何だかんだでクリアしたし、これと言って苦労はしてないわ。
ただ‥‥勉強する内容に執着が無いだけで。」
そうだ、私は仕方なく介護を勉強しているのだ。
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