Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました~

美保馨

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恋の忘れ形見

カスミ違い

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カスミは自分の長い爪を見た後、ゆっくりと口を開く。


―言わないで

―聞きたくない





「てーか聞いて?
この前もヒロトったらさぁ!」



―『ヒロト』


今、ヒロトって言った‥‥?


その名前が耳に入ったのを脳内で確認すると、体中の力という力が一気に抜けた。

―ゴトン‥‥

線が切れたかのようにして机に頭を落とすと、安堵の溜め息が自然に口から漏れる。


‥‥良かった。


ひとりで馬鹿みたいに、嫌な想像してただけだったのだ。


隣で驚いた顔をしているカスミが、急にイイ人に思えてきた。

私って‥‥一体‥‥。



「‥‥もう、何なのさぁ~?
今日のアンタ、やっぱ意味不明だしっ。」


机に頭をこすり付ける私を見下ろすと、カスミは盛大な溜め息をついた。


「ゴメンゴメン‥‥熱、上がってきたみたいでさ。」


胃の痛みはやがて治まった。


「‥‥はい、それでは‥‥え~、また来週ここから始めます。」


その鈴の音のような声を聞き、私は慌てて顔を黒板に向ける。

既に雨宮先生が教室から出て行こうとしているのが目に入った。


すなわち、それは‥‥講義終了ということ。


―キーンコーン


ミッション終了のチャイムが頭の中でクルクルと鳴り響く。

それと同時に、もう2度と凪の代わりなんかゴメンだと心に誓った。


「それじゃ私はこれで~!」


手をヒラヒラさせると、私は颯爽とカスミに別れを告げる。


「ちょっとー!
合コン行かないのー!?」


「ゴメン、具合悪いから行かな~い!」


誰が行くか!

ていうか凪のヤツ、彼氏いるのに合コン?
総大くんが気の毒だわ‥‥。

そんなことを思案しながらドアを開けると、廊下が何やら騒がしいことに気付く。

キャーキャーと黄色い声であふれている。
女子の大群が何かを取り囲んで興奮している様子が、ハッキリと分かった。

前にもこんなことが、あったような‥‥。


ドアを閉めると、嫌な予感が私の脳裏をよぎった。


 

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