77 / 399
恋のライバル
いい歳して駄々をこねる変態
しおりを挟むそして凪から真横にいる変態に視線を移して再び口を開く。
「アンタもさっさとカ・エ・レ‥‥ッ!」
ベッタリと寄り添ってくる千鶴の頭を押しやりながら、途切れ途切れに言った。
言うのがかなり遅れたけどさ‥‥
ホントもう、頼むから早く帰ってくれ!
「イ・ヤ・で・す!!」
それに抵抗する千鶴は、私が言い放った口調を真似して尚更すり寄ってきた。
「ちょっと~、目の前でラブラブしないで下さぁい。」
凪は目を反らし口を尖らせながら『見てられないわよ、このバカップル』と言わんばかりの台詞を寄こしてきた。
「ラブラブじゃねー!
どちらかと言えばギスギスだよ!
てゆーか熱い!くっつくな!
帰れ帰れ帰れぇ!!」
「澪‥‥?」
物凄い剣幕で叫ぶ私を、千鶴は悲しそうな目で見つめてきた。
「そんな顔しても駄目だからね!
ハイ、とっとと帰った。」
パンパンと2回手を叩きながら仕切るようにしてそう言ってやると、千鶴は首をかしげながら口を開いた。
「‥‥熱いなら、コタツから出たらどうですか?」
「‥‥‥‥。」
―ドカァッ!
しばし静止した後、強烈な正拳突きをヤツのどてっ腹にお見舞いした。
やっぱり‥‥口で言っても駄目みたいだから、ね。
武力行使しかないわ。
「澪~!まだ一緒にいたいです!」
床に吹っ飛ばされた千鶴は、横たわりながら地団太をこね始めた。
「ええい!いい歳こいて、駄々をこねるな!駄々を!」
「そんな、いい歳って‥‥。
やれやれ。澪は僕の歳、知らないじゃないですか。」
「うっせー!んなもん一生涯知らなくてもイイわぁ!」
私は声を張り上げると、いい歳こいたであろう変態の首根っこを猫のように掴み上げ、玄関口につまみ出した。
すると千鶴は、観念したのか立ち上がって俯き出した。
「分かりました‥‥今日はもう帰ります。」
ほう、今日はえらく物分かりがイイじゃない。
‥‥そう思った矢先に注がれた、変態の非難の眼差し。
「‥‥僕が出て行けばいいんでしょ!」
―バタバタバタ‥‥ガチャン!
千鶴は少女漫画の悲劇のヒロインのごとく、涙を風に乗せながら走って出て行った。
さっき葵くんが放った捨て台詞を真似て叫びながら。
「いやいや‥‥葵くんの真似したって、追いかけたりしませんからね?」
嵐が過ぎ去った後、私はポツリとそう独り言を漏らした。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる