62 / 399
恋のライバル
窓から変態、襲来
しおりを挟む「な、何だろう?」
私はそう言うなり、警戒しながら窓の方を見つめた。
その瞬間、我が目を疑うことになる。
なんと‥‥ベランダから手が伸びてきたのだ。
何者かが外から2階までよじ上ってくる。
‥‥何者かって?
白昼堂々、そんなことをするのはヤツしかいまい。
「み、澪ー!!」
千鶴はスーツ姿でベランダの柵を跨りながら、我が家に侵入してきた。
―ドンドンドン!
「開けて下さい!寒いです!」
ヤツは窓ガラスを、これでもか!というくらい叩きまくり叫び散らすものだから、葵くんはすっかり怯えている。
はっきり言って、キャンプ場に出没する斧を持った殺人鬼よりも恐いね。うん。
「ねぇ、何アレ!何なの!?」
「あ~‥‥えっと、私専属の変態?」
「は?変態!?」
葵くんは猫のように毛を逆立てながら千鶴を睨み付けている。
‥‥分かるよ、その気持ち。
「澪ー!誰ですかその男はー!
僕に黙って男を家に上げるなんて!
僕の何が不満なーんーでーすーかー!?」
千鶴が泣くようにしてワーワー騒ぎ立て、窓を割らんばかりに力任せで叩き続けるものだから、私は近所迷惑を考え、ついに観念すると窓を開けてやった。
「うるさいぞ馬鹿野郎!
ベランダで叫ぶんじゃないわよ変態が!」
「澪~寒かったです~。」
雪に濡れた千鶴が抱き付いてきたので、怪訝とした顔でその腹を蹴った。
「冷たいわ。離れろ。」
「ひ、酷いですよ‥‥澪。
その男には風呂まで入れてあげて、あげく着替えまで用意してあげたじゃないですか。
恋人は放置ですか?
あえて放置プレイですか?
フ‥‥照れ屋さんというか、何というか‥‥。
全くもって可愛いですグブフッ!」
「全くもってウザイわ。」
千鶴の顔面に張り手をかますと、ヤツは滑りながらフローリングの床に倒れた。
ていうか何で、風呂に入れて着替えを用意してあげたのを知ってるのよ‥‥。
見てたのか?見てたのか!?
それと、よく葵くんが男だって一目で分かったわね‥‥。
『この変態あなどれねぇ』と言わんばかりの感心した眼差しで千鶴を見つめていると、ヤツはムクリと起き上がった。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる