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恋のライバル

その美少女、実は…

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「‥‥ふ。」


渇いた笑いを浮かべ、もはや数少なくなってきた下着の中からその1つを手に取った。

下着代‥‥倍にしてもぎ取ってやる。

そう決心しながら某変態の顔を思い浮かべると、パーカーとジャージを手に取る握力が跳ね上がる。

そんな穏やかで無い心境で脱衣所へ私は向かうのだった。


「葵ちゃ~ん、ここに着替え置いておくからね~?」


脱衣所のカーテンを開けながら扉の向こうの葵ちゃんに言った。

あ、ちゃん付けは嫌がるんだっけ?
初対面の子に呼び捨てとか得意じゃないけど、まぁ頑張ろう。

そう思いながら煙草に火を点け、リビングで15分ほどまったりする。

すると、脱衣所の方から何やら怒声混じりのわめき声が聞こえてきた。


「おい!ふざけるな!」


私はその苦情を聞き付け、脱衣所まで小走りで向かう。


「今度は何よ~?」


カーテンに手を掛け、半分ほど隙間を開けると、葵ちゃんは慌ててそれを阻止してきた。


―ガシッ


「ば、バカ、開けるな変態ッ!」


「え~?わめき散らしておいて、そりゃないでしょーが。いいから開けなさい。」


―ガラガラ‥‥


どうやら葵ちゃんのか弱い腕力よりも、私の怪力が勝ったようだ。

そんな私に物凄い殺気が込められた視線が注がれる。
勢い良くカーテンを開けた先には、バスタオルにくるまった可憐な少女の非難の目があった。


「‥‥な、何?」


「何じゃねーよ!バカ!
こんな女モノの下着なんか穿けるかよ!」


葵ちゃんはバスタオルの裾を必死に握り締めている。
顔が文字通りゆでダコのように真っ赤だ。


「え‥‥もっと高価なモノじゃなきゃ嫌~とか?
普段、何穿いてるの?シルク?」


そんな感じで私がオロオロしながら尋ねてみれば、葵ちゃんはますます激怒した。



「だから女の下着なんか穿けるかよ!‥‥俺は男だぁ!!」


な、なんですってー!?


「う、嘘‥‥てっきり女の子だとばっかり‥‥ご、ゴメン!」


私は後頭部から滝のような汗をかく勢いで、滅茶苦茶になって慌てた。


「もーいい!下着は濡れてないからパーカーとジャージだけ借りる!」


「は、ハイ!」


そう返事をすると同時に、レールが壊れんばかりに脱衣所のカーテンを思い切り閉めた。 
 

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