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恋のライバル
その毒舌美少女、葵
しおりを挟む「‥‥葵。」
口をすぼめながら、ほんのり顔を赤らめる様子がとても可愛いらしかった。
「へぇ~葵ちゃんか。可愛い名前ね。」
なんだ、この子は照れ屋なんだな。
それにこんな可愛い子が外に何時間もブラついてたら、拉致され監禁されちゃうわよね。
最近物騒だし‥‥。
あれ?私‥‥。
この状況は明らかにヤバイだろう。
『~田舎のとあるマンションにて少女が拉致監禁!
犯人は隣人の女子短大生だった~
土屋容疑者は少女を甘い言葉で誘惑し、自宅に連れ込んだ‥‥。』
明日の朝刊の内容がこんなんだったらどうしよう‥‥。
私は軽いパニックに陥った。
そうよね‥‥よく考えてみれば危険な人物って私じゃん。
犬や猫とはワケが違うのに、簡単に家に女の子入れちゃうなんて‥‥随分と軽率な行動を取ったもんだわ。
「‥‥可愛いって言うな。殺されたいのか?」
は?
私はその台詞に妄想から引き戻された。
「ちょ‥‥ゴメンって。ただ褒めただけじゃない。」
「うるさい。余計な褒め言葉なんていらないんだよ。」
「‥‥ぐぅ‥‥。」
なんと憎たらしい。
私、ここまであからさまに罵られたのは生まれて初めてよ。
‥‥でもまぁ、我慢我慢。
私は必死に怒りを抑える。
「‥‥で、葵ちゃんは中学生かな?」
「そうだけど。」
「何年生なの?」
「中3。オバサンは?」
「‥‥おばっ‥‥‥‥‥。」
きぃぃぃいいい!!
こんのクソガキャ!
私はまだ20歳のピチピチギャルだわよ!
あ、死語使っちゃう辺り感覚はオバサンかもしれないけどさぁ!
「わ、私は近くの短大に通ってるんだぁ。
ちなみに『ハタチ』よ~。」
何気に年齢を強調してしまった。
「ふぅん。で、名前は?
大人のクセに自分から名乗らないなんて、常識知らずもいいとこだよ。」
フン、と葵ちゃんは鼻で笑った。
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