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恋のライバル
可愛くない私。
しおりを挟む私は渇いた笑いをこぼしながらそう思った。
「‥‥はぁ。」
そうして溜め息をつけば尚更虚しくなる。
彼氏‥‥かぁ。
勉強‥‥就職‥‥将来。
私の頭の中では、様々な悩みが渦を巻いている。
その中でも、恋人が欲しいという悩みが群を抜いて浮き立つのは気のせい?
どうしてそのことばかりを気にかけるのだろうか。
何故なら受験や就職という壁よりも、それが遥かに高く感じるからだ。
何億といる世界中の男の中から、たった1人の恋人を見付けるのが、とてつもなく無謀なことだと思える。
私にはもう‥‥そんな人を見付ける力も、魅力も無いのだと思ってしまう。
自宅のマンションへとゆっくり歩を進めながら、私は自問自答を続けた。
『男なんて』と愚痴りながらも、本当はただ怯えているだけだ。
傷付くことが怖くて見付けられないでいる。理由を求めている。
不変の愛の理由を、必死に探しているのだ。
不変が存在するのだろうか。
私だけを見つめてくれる人が存在するのだろうか。
千鶴はその人なのだろうか。
口先だけなのだろうか。
執拗に疑うことで、私は自分を守っている。
信じて、最後まで信じて好きになった克哉。
だけど彼の愛は1つじゃなかった。
‥‥私は怯えているのだ。
男という存在に、完全に怯えている。
だから強烈なアプローチをしてくる千鶴にも警戒をしているのだ。
「‥‥可愛くない。」
ボソッと自分に向かって呟いてみると、白い息が漏れる。
そうしてあれこれ考えている内に、マンション前の道路に着いたことに気付いた。
するとそこでは、井戸端会議をする近所のおばちゃん達が群れを作っていた。
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