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恋のライバル
変態とのティータイム
しおりを挟む「彼氏じゃないよ!
ちょっとアンタ、加奈子に何言った!」
満足げな顔で千鶴は私の隣に図々しく座り、口を開いた。
「いえ、ありのままの真実をね。」
「ねぇちょっと『真実』って言葉を辞書で引いて来い。」
私が千鶴にそう言った後、加奈子は私達の向かいに座った。
加奈子‥‥物凄いワクワクしてるなぁ、どうしよう。
「仲良しさんだねぇ~!いいなぁ澪ちゃん。
あ、さっき千鶴さんにカウンターで会ってね?澪ちゃんのA評価のお祝いだって言ったら、ケーキ代払ってくれたんだよ~!
私までごちそうになって、ありがとうございます千鶴さん。」
加奈子はニッコリと目を細め、丁寧にお礼を言った。
あー。
そういうことね‥‥。
ていうか何で!私が短大の喫茶店にいるって知ってるのよ‥‥怖。
「いえいえ、お礼なんていいんですよ加奈子さん。
澪がいつもお世話になっているんですから当然です。」
千鶴がそう言いながら微笑んだ時、キラリと歯が光った。
‥‥相変わらずキザなヤツ。
加奈子はその千鶴スマイルを見て目がとろんとしている。
「加奈子、この男に何吹き込まれたか大体想像できるけどさぁ。
私達付き合ってな‥‥。」
「ここのチョコレートケーキ絶品ですね。学校の喫茶店と言えどなかなかの味ですよ。」
馬鹿が私の話を遮ったよ。仮にも好きな女の話を堂々と遮るなよ。
「‥‥‥‥。」
―ガッ!
「はが!」
「黙ってケーキ食べてろ。」
怒りのあまり、足が勝手に千鶴の弁慶の泣き所を蹴ってしまった。
千鶴はチョコレートケーキの食べカスを口の端に付けて悶絶している。
私はその様子を横目で盗み見し、ほくそ笑んだ。
「加奈子、この人は彼氏じゃなくてストーカーなの!」
「えぇ~?」
「いや、ホントだって!信じてマイフレンドー!」
すがるように加奈子にそう言った後、たった今隣で痛みにもがいていたはずの千鶴の姿が、忽然と消えていることに気付いた。
「あれ、千鶴さん‥‥?」
「さっきまでいたのに、いつの間に‥‥。」
私は『やった!』と思いながら、小さくガッツポーズをテーブルの下で作った。
「おトイレかなぁ?」
加奈子がトイレに目をやりながら言った。
「あ~、そうじゃない多分。
一生トイレから出て来なきゃイイのにね。」
―キャー!!
キャー?
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