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恋のライバル

ウェイターに扮した変態

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「あー、ダメだ。」


幸せなのも束の間のことだ。
すぐに憂鬱が付きまとうのだ。
男に八つ当たりするのも、溜め息ばかりつくのも、全部悪い癖。
直そうとは思ってても、どうも改善されない。


「はぁ~‥‥。」


また溜め息をひとつ。


私の人生、渇いてるなぁ‥‥。


そうやってあれこれと頭を悩ませているうちに、背後から足音と共に甘い匂いが近付いてきた。


「加奈子ありが‥‥‥‥とぁ!?」


後ろを振り向きながらそう言った時、口から心臓がはみ出しかけた。





「お待たせ致しました。」



やって来たのは加奈子ではなく、
ウェイターを気取った変態‥‥、
もとい、千鶴だった。


「キャラメルケーキでございます。マドモアゼル‥‥。」


マドモアゼルって、おい。


「ちょ、アンタ‥‥どっから湧いて来たのよ!」


「澪の心の海より参上しました。」


「また意味不明なことを言って話をはぐらかすんじゃないわよ!」


私は千鶴の手に乗せられた美味しそうなキャラメルケーキを奪い取り、驚きのあまり声を張り上げた。


嫌だなぁ~‥‥コイツのこと考えてた矢先から現れるなんて‥‥。
ホント悪夢だわ。


「澪ちゃ~ん!」


ふふんと言いながらサラサラの髪をかき上げる千鶴にガンたれていると、カウンターから加奈子が走ってきた。


「澪ちゃん!彼氏なんていつできたのぉ?
私ビックリしちゃったよ!こんなカッコイイ人、初めて見た!」


加奈子はケーキを2つ、両手にそれぞれ持ちながら顔を赤くしている。

いつもはゆったりとスローモーションで話す彼女が、早口でいっぺんに喋った。

こんなに興奮しているのを見るのは初めてだ。


 
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