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恋は1対1
僕の愛は普通という枠組みに収まり切るはずがないんです。
しおりを挟む「大っっ好きですぅー!!」
千鶴が高らかにそう叫んだと同時に私は愕然とする。
「おい。今の流れだと普通は
『大嫌いだー!』って叫ぶでしょーが。」
「いえ、だから普通ではないんです。僕の愛は普通という枠組みに収まり切るはずがないんです。」
「ハイハイ何でもいいからさっさと立ち上がって、とっとと敷地内から出て行ってね。お坊っちゃ‥‥ん?」
―グイッ
何だコレ?
私はダダをこねる千鶴の両脇を再び持ち上げると、ヤツのお尻のポケットからピンクの布切れがはみ出しているのを見つけた。
「何か変なのはみ出てるわよ。
どーれどれ?うわ、花柄のハンカチ?しかもフリル付き!?
‥‥アンタってそんなクールなナリしといて乙女趣味なのねぇ。笑っちゃうわ!」
オーッホッホッホ!と叫ばんばかりに私は千鶴をいびる。まるでその光景は姑のようであり、少しばかり醜いものであった。
だけど仕方ないじゃない!相手は千鶴よ!?
コイツが私にした仕打ちに比べれば、こんな意地悪くらい微々たるモノよ。
私がグイグイとその可愛らしい柄の布を引っ張ると、千鶴は自分の尻を押さえながら必死でそれを阻止してきた。
その構図はあたかもスカートをめくろうとするオヤジと、それに抵抗して泣きわめく女子高生のようであった。
「や、止めて下さいよ!澪!」
「ええい!うるさいわぁ!
最後の別れを祝いして『藤堂グループの御曹司は実は乙女趣味』って地元のホームページの掲示板に書き込んでやるわよ!」
「イヤァー!ヤメテェー!」
千鶴が可憐にそう叫んだ後、私が渾身の力を込めて布切れを引っ張れば、それは半分だけ姿を現した。
―スルッ
しかし。
「あ‥‥ああああぁぁあ!!」
「あーあ。」
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