34 / 399
恋は1対1
コイツとの冷静な会話は無理に等しい
しおりを挟むーーボッ
ん?
何か今、ガスレンジに火が点いたような音が……。
私は少々緊迫しながらキッチンに視線をやった。
しかし、火も何も点いていない。
「空耳かぁ」
私は自らの耳に不安を感じながら再び前を向き直した。
「あ、前言撤回。」
千鶴が恥ずかしさのあまり燃えた音でした。
おぉ、真っ赤だ~。
のん気にも私は火山のような千鶴を見つめながら思案を巡らせる。
頭に異常が無いことは分かった。
あとは、何故に私に着きまとうのかが問題なのよね。
「あのさぁ、何で私なの?」
何げなく私はそう聞いてみた。
「好きです。」
千鶴はそれに対して、明かに質問を聞いていなかったであろう回答をした。
「いや、だから。何でって聞いてるの!」
「それはデートの時に言いましたよ好きです。」
「普通あれじゃ納得できないし。」
「澪は普通じゃないから納得できると思いま好きです。」
「……貴様いい加減にしろよ?
普通じゃないのはオ・マ・エ。」
ていうかさっきから好きです好きですと、会話に紛れさせているんだけどわざとかなぁ。
嫌だなぁ。怖いなぁ。
「よくご存じで!
確かに僕の澪への愛は尋常で無いほどの深さですよ。よく知っていますね、澪は物知りだ。
いや、僕マニアとでも言いますか」
ニンマリと満面の笑みに頬を薔薇色に染め上げる千鶴。
お手上げだ。
もうコイツとの冷静な対話なんて無理に等しい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
267
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる