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恋は狂気
二股をかけられた過去
しおりを挟むそれを見届けた後、私は小刻みに息をして凪を睨む。
「凪……藤堂さんの孫は、とんだ変態だったの!
アレ見て分かったでしょ!?
今日、食事に行った時に分かったのよ!も~最悪っ。
一瞬でも惚れた私が馬鹿だった!」
泣きわめく私を見て、オドオドしながら凪は口を開いた。
「そ、そうかなぁ?私には魅力的に見えたよ?」
「魅力的!?人の下着を盗んで不法侵入するような変な男が、アンタの趣味だって言うの!?」
ふざけないでよ!
人事だと思って……。
その発言にイライラし、私は凪の顔を見ないようにしながら煙草の火を点けた。
もう散々よ!
「あ、あのさ……。
お姉、彼氏に二股かけられて別れてからずっと元気ないじゃん……?
そりゃ絶望もするよね……」
すると突然、凪は喧嘩を売っているとしか思えないような台詞を吐いた。
その瞬間、私は胸を痛める。
「何ソレ。嫌味?嫌味なら明日にして。今日はもう何も受け付けないから!」
当然だ。
実ると思っていた恋が、数時間前に泡となって消えたばかりだもの。
「……そうじゃなくって!
お姉さぁ、トラウマだったじゃん!男を毛嫌いしてたじゃん!
……だから、実習の時に千鶴さんの話を嬉しそうにしてたお姉を見て、私は何か安心したんだよ」
グラリと心が揺れた。
思いもしなかった凪の言葉を聞いて、不覚にも私は泣きそうになった。
凪は大声でいっぺんに喋ったため、肩で呼吸をしている。
私は黙りこくったまま煙草を吸い、ただソファに座っていた。
「だからさ、あんなにストーカーみたいに誰かに突進する人なら、お姉のことだけを見てくれるじゃん……。
あの人、まぁちょっと……いや、かなり変わった人だけど、いいんじゃない?きっと、お姉のことだけを愛してくれると思うよ!?」
凪はそっぽを向く私に説得するようにして、再び声を大きくした。
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