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恋は狂気

慰めて下さい!体で!

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ほらごらんなさい。藤堂グループの人間と言えど、下着泥棒にストーカーだと知ったら警察も黙っちゃいないわよ。

フフンと、私は勝ち誇った顔をする。

しかし千鶴の名前を出した途端、警官の態度が急変した。
 


「……悪いことは言わない。
藤堂さんには逆らわない方がいい」



「え!?助けて下さいよ!」



「申し訳ありません。
藤堂さん相手に手錠をかけられないですよ。君もあまり逆らわない方が賢明だよ?
それでは失礼します……」



ーーツーッツーッ……


不通音が耳に響いたと同時に、私は混乱した。


まさか、本当にこの男が警察をも手なずけるような権力の持ち主だったとは……!



「う、嘘……。
ちょっと、アンタ何者よ!どう考えたってこんなのおかしいわよ。
……訴えてやる!」



「お姉、なんてこと言うのよ!
千鶴さんお金持ちなんですねぇ、素敵~!」



すると凪が横から口を挟んできた。
ていうか、今までのやり取り聞いていなかったのか!?
この馬鹿妹!

そう心の中で叫びながら私は凪を睨み付けた。



「そうですよ、なんてこと言うんです。僕のピュアなハートがボロボロになったじゃないですか……。
慰めて下さい、体で!」



「ちょ、止めろ!寄るな触るな、ヘンタァァイ!!」



ーードスゥッ!


二の腕をスリスリと撫でてきた千鶴の顔面に、私は見事な正拳突きを食らわせた。
千鶴は苦しそうにしゃがみ込む。



「うっ……!
み、澪…酷いですよ。僕が何をしたというのですか……、
こんなに愛してるのにぃ!」



もはや血だるまと化した千鶴は、私の足にしがみ付いて嘆いた。



「ひ、ひい!
き、気色悪いんじゃあー!」



私は足に絡まってきた、千鶴という名の変態を払うために必死に暴れた。



「お、お姉!いい加減にしなよ、可哀想じゃん!
千鶴さん、お姉ちゃん恥ずかしがってるのよ。昨日から千鶴さんの話をする度に顔が真っ赤になったくらいだから!」



凪は私にとって思い切り不利になる発言をした。



「そ、それは昨日までの話なの!
てか凪、アンタどっちの味方!?」



「……そうだったんですか。僕としたことが、澪のことを全然考えていませんでしたね。」



フッと悲しそうな目をすると、千鶴は私の足から離れた。
自分の非常識な行いを、やっと理解してくれたのだろうか。

何だ、話せば分かるじゃん……。

理由はどうあれ、千鶴が静まってくれたので私は一安心した。
 
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