7 / 399
恋に堕ちる
一目惚れ
しおりを挟む「来た!来たわよ、澪ちゃん!孫が!」
藤堂さんは、とても85歳とは思えないようなハシャギっぷりを見せた。
まるでガールズトークに花を咲かせる中学生のようだ。
一方、私の鼓動はにわかに高鳴っていく。
「はぁい、どうぞお入り下さい!」
そう入室を促すと、スラッとした長い足が部屋の入り口から入って来た。
――……!
「どうも、いつも祖母がお世話になっています。藤堂です」
私は呆気に取られ、言葉を飲んだ。
何というカッコ良い……、
いや、美しいという形容が似合う人だろうか。
藤堂さんの孫は、想像を絶するほどの美男子だったのだ……!
「あのう……?」
呆然としている私を見て、藤堂さんの孫は目鼻立ちの整った顔を近付けてきた。
――ドキッ
「あ、はい!どうも初めまして、実習生の土屋澪です!」
私は一生懸命に自己紹介をした。顔から火が出てるみたいだ。
だって、こんな綺麗な人……
……初めて見たもの!
キチンと整っている手入れの行き届いた黒髪に、キリッとした涼しい目元。高い鼻筋に、スラリとした長身。
身にまとっているのは、仕立ての良い高級そうな黒いスーツ。
まさに絵に描いたような理想の男性が、目の前にいるではないか。
「土屋、澪さん……?」
麗しい唇が私の名前を発音した時、体中に電流が走った。
「は、ハイ!
土屋、み、澪ですが!」
焦りに焦った私は、みっともなく台詞を噛みまくった。
私ったらカッコ悪い……。
ろれつが回らないよ!
「うふふ、千鶴。その子が噂の澪ちゃんよ!お世話になってるの」
後ろで藤堂さんは嬉しそうに孫の名前を呼び、ニッコリしている。
――『千鶴』さん……
私はその名前を即座にインプットし、眼前にある端正な顔をこの目にしっかりと焼き付けた。
「ああ、貴女が澪さんですか!
祖母から話は聞いておりますよ。
とても出来たお嬢さんだと……」
千鶴さんは私の手を握って爽やかに微笑んだ。
その美しさときたら、職員の河本さんなんか比べ物にならなかった。
それどころか月とスッポンにさえ思えた。
白い歯が輝いている……。
バックに大輪の花が見える……。
この日、私は利用者さんの孫……、
いや、藤堂さんの孫、千鶴さんに一目惚れしてしまったのだった。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる