私と一緒にご退場願いましょうか

りすい

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6.sideS

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セオドア視点

月日は流れ、もどかしい日々は続いていたがとうとうレイチェルが学園に入学した。
この日を、一体どれだけ待ち望んだ事か。

そう、伯爵家と公爵家でのやり取りで決まる逢瀬は月に1度の1時間しかないが…
たまたま学園内の食堂で会えばランチを共にとるのは普通だし、帰るタイミングが同じであればちょっと回り道をして彼女を伯爵家に送るのだって普通である。
待ち合わせをしている訳でも、約束をしている訳でもない。
偶然であり、自然の流れなのだから仕方がないのだ!!!

入学式の間、レイチェルの様子を伺うが少しばかり元気がないように思う。
何かあったのだろうか。今すぐにでも駆け寄り大丈夫かと問い掛けたい。

あぁ。なぜ私は2年も早く生まれてしまった?
同級生であれば授業中だって心置き無くレイチェルを守れると言うのに。
くだらない思考をぐるぐると繰り返しているとあっという間に式は終わり皆がそれぞれ教室に戻っていく。

人波に流されていくレイチェルに後ろ髪をひかれつつ自分も教室へと足を向ける。

放課後は必ず一緒に帰れるよう噴水広場の所にいこう。あそこであれば必ず通るはずだから…
いきなり3年が1年の教室に行くのはさすがに目立ってしまうだろうから仕方がない。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

授業の終わりと共に席を立ち、噴水広場へと向かう。

浮き足立つ気持ちを抑え、レイチェルはどこかと視線で探す。

「きゃっ!」
高い声と共に倒れ込む身体が見えたので思わず咄嗟に支えたが、後悔する。

なぜ、躓いただけでそんなに身体を擦り付けてしなだれかかってくる。
というかいつまでその体勢でいるつもりだ、早くどけとイライラする。腕を掴んで離そうかとも思うが態々自分から触りたいとも思わない。
いい加減我慢の限界だと声をかけようとしたら、ゆっくりとした動作で上体を起こし上目遣いで媚びるような表情で覗き込んでくる。

なんだ、どこかからの間者か何かかと身を固くするも武器を出すでもなく、喋りかけてくる訳でもない。
本当になんなんだこいつはと思わず睨みつつ一言だけ告げる。

「手を離して貰ってもいいだろうか。気をつけたまえ」

「えっ!?あ、はい、すみません。あ、私ミレーナって言います。お名前教えてください!」

「…名乗る必要を感じない。急いでいるので失礼する。」

気色の悪い女だ、と思いつつ掴まれていた腕を振り払い馬車に向かう。
不愉快で仕方ない。しかしあいつがあの場にあのままいると、レイチェルに害があるかもしれない。今日のところは大人しく1人で帰ろう。
足早に馬車に乗り込む。

レイチェルはまだ教室だろうか。
入学を祝いたくて用意した花束は渡せないまま終わってしまいそうだ。
伯爵家に送ったところで茶会の日ではないから受け取って貰えないだろう。

明日、もう一度花束を用意して会いに行こう。
会えないのは耐えられない。
目立ってしまって申し訳ないが明日は教室まで迎えに行こう。

妙に甘ったるい匂いに頭が痛くなる、ジャケットを脱いで向かいの座席に投げつけた。
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