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5.厄日を終えるために
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才能をさー、その努力をさーもっと正しく有効に使ってくれよ王子様…
「…現状お伝えできるのはこんなところかと。お疲れでしょうからお部屋にご案内いたします。ミヤシロ様の今後につきましては私どもにて不便無い環境を整えさせて頂きます。もちろんミヤシロ様のご意向を伺いながら進めて参りますので御安心ください。」
サージュは、流れるように案内の侍女を呼びつけると席を立つ。
慌てて席を立つとクラージュが音もなく隣に立つ。戸惑うように見上げると、参りましょうと微笑まれた。一緒に部屋まで行ってくれるらしい。
サージュとサフィールはこの部屋に残るようなので慌てて2人に頭を下げる。
「明日また改めて詳細を。」
「ごゆっくりお休み下さいね。」
2人の言葉を背に、案内の侍女について行く。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
案内された部屋の入口で立ち止まったクラージュは私の手のひらに残った血の跡を軽く撫ぜ、眉を寄せた。
「身支度をする間もなく話に付き合わせてしまい申し訳ございませんでした。貴方付きの侍女が部屋にて風呂の用意をしていると聞いています。お心が落ち着かないかとは思いますが、まずはゆっくりとおくつろぎください。」
「ありがとうございます!」
彼はこのまま護衛にあたると言い、部屋の前に居るから何かあれば何時でも声を掛けてくれと微笑んだ。いやぁ、イケメンってすげぇわ。疲れ全部吹っ飛ぶ…
なんてくだらない事を考えながら部屋に入ると、目に付いたソファに腰を下ろす。
豪華な部屋ではあるが華美になりすぎず品のある家具が揃えられてある。こういった部分はやはり王妃様の管轄になるのだろうか。恐ろしくセンスの良い方なのだろうなぁなんてどうでもいい思考を巡らせる。
ノックの音に首を捻らせ返事をすると、柔らかい色の茶髪を三つ編みにした女性が部屋に入ってきた。年齢は20歳前後くらいだろうか。
「本日よりミヤシロ様付きの侍女となりましたペルルと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
「ご丁寧にありがとうございます。ユズキ・ミヤシロです。宜しければユズキとお呼びください。こちらこそご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。ペルルさん」
「ユズキ様ですね。承知致しました。ユズキ様はジューラス王国のお客様でございます。私にはそのような丁寧な口調でお話いただく必要はございません。名前もどうぞ、ペルルと」
にっこり優しい笑顔を見せてくれるペルルに小さく頷く。
風呂の準備が整っているのでまずはそちらに、と案内されふと自分の状態が気になった。
そして案内された部屋の鏡をみて愕然とする。
いや、こんなんホラーやんけ
結んでアップスタイルにまとめていたロングの黒髪は暴漢と争った時に捕まれ酷く解けていた。前髪も投げたビールがはねたのか変な湿り気を残したまま顔に張り付いている。
スーツもジャケットは破れ、シャツも乱れており、スカートには泥と血の汚れが付着。ストッキングは破れ擦れた時の血が所々に色を残している。
その上分厚いレンズのメガネをつけて(お陰様で今ははずしているが)恐怖による汗でメイクは崩れまくり…
こんな酷い状態であのイケメンたちの前に居たのか…
絶望した表情で崩れ落ちそうになる私をペルルは優しく支えてくれる。
いやほんと、これ今日イチの悲しい出来事では??
そりゃ聖女を待ち望んだ王子なら見下したくなる見た目だわ。
こりゃあの可愛い女子高生が聖女一択だし、こんなんが触れたら聖女ちゃん呪われそうでビビるよね…
早くちゃんとせねば、己の乙女としての矜恃を保たねば…
ペルルにこれ以上の恐怖を与えてはいけないと足に力を入れ浴室へと急ぐ以外に出来ることは何も無かった。
「…現状お伝えできるのはこんなところかと。お疲れでしょうからお部屋にご案内いたします。ミヤシロ様の今後につきましては私どもにて不便無い環境を整えさせて頂きます。もちろんミヤシロ様のご意向を伺いながら進めて参りますので御安心ください。」
サージュは、流れるように案内の侍女を呼びつけると席を立つ。
慌てて席を立つとクラージュが音もなく隣に立つ。戸惑うように見上げると、参りましょうと微笑まれた。一緒に部屋まで行ってくれるらしい。
サージュとサフィールはこの部屋に残るようなので慌てて2人に頭を下げる。
「明日また改めて詳細を。」
「ごゆっくりお休み下さいね。」
2人の言葉を背に、案内の侍女について行く。
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案内された部屋の入口で立ち止まったクラージュは私の手のひらに残った血の跡を軽く撫ぜ、眉を寄せた。
「身支度をする間もなく話に付き合わせてしまい申し訳ございませんでした。貴方付きの侍女が部屋にて風呂の用意をしていると聞いています。お心が落ち着かないかとは思いますが、まずはゆっくりとおくつろぎください。」
「ありがとうございます!」
彼はこのまま護衛にあたると言い、部屋の前に居るから何かあれば何時でも声を掛けてくれと微笑んだ。いやぁ、イケメンってすげぇわ。疲れ全部吹っ飛ぶ…
なんてくだらない事を考えながら部屋に入ると、目に付いたソファに腰を下ろす。
豪華な部屋ではあるが華美になりすぎず品のある家具が揃えられてある。こういった部分はやはり王妃様の管轄になるのだろうか。恐ろしくセンスの良い方なのだろうなぁなんてどうでもいい思考を巡らせる。
ノックの音に首を捻らせ返事をすると、柔らかい色の茶髪を三つ編みにした女性が部屋に入ってきた。年齢は20歳前後くらいだろうか。
「本日よりミヤシロ様付きの侍女となりましたペルルと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
「ご丁寧にありがとうございます。ユズキ・ミヤシロです。宜しければユズキとお呼びください。こちらこそご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。ペルルさん」
「ユズキ様ですね。承知致しました。ユズキ様はジューラス王国のお客様でございます。私にはそのような丁寧な口調でお話いただく必要はございません。名前もどうぞ、ペルルと」
にっこり優しい笑顔を見せてくれるペルルに小さく頷く。
風呂の準備が整っているのでまずはそちらに、と案内されふと自分の状態が気になった。
そして案内された部屋の鏡をみて愕然とする。
いや、こんなんホラーやんけ
結んでアップスタイルにまとめていたロングの黒髪は暴漢と争った時に捕まれ酷く解けていた。前髪も投げたビールがはねたのか変な湿り気を残したまま顔に張り付いている。
スーツもジャケットは破れ、シャツも乱れており、スカートには泥と血の汚れが付着。ストッキングは破れ擦れた時の血が所々に色を残している。
その上分厚いレンズのメガネをつけて(お陰様で今ははずしているが)恐怖による汗でメイクは崩れまくり…
こんな酷い状態であのイケメンたちの前に居たのか…
絶望した表情で崩れ落ちそうになる私をペルルは優しく支えてくれる。
いやほんと、これ今日イチの悲しい出来事では??
そりゃ聖女を待ち望んだ王子なら見下したくなる見た目だわ。
こりゃあの可愛い女子高生が聖女一択だし、こんなんが触れたら聖女ちゃん呪われそうでビビるよね…
早くちゃんとせねば、己の乙女としての矜恃を保たねば…
ペルルにこれ以上の恐怖を与えてはいけないと足に力を入れ浴室へと急ぐ以外に出来ることは何も無かった。
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