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なぜ隣国が栄えたかって?王太子が、幸福の魔道具士を婚約者にしたからさ。
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ぐしゃりと鈍い音をたてて手の中の紙が形を変えた。
どうやって届けたのか、平民となった元婚約者からの手紙が執務室の机の上に置いてあった。
奴には魔道具を作ってもらわねばならん。行方不明になってから3ヶ月、怪しさもあるが居所のヒントになるかと急いで手紙を開けたが後悔することになった。
俺の今を永遠に、だと?
新しい婚約者は側近たちを愛人のように扱い、腑抜けた側近は役に立たず仕事は滞る。しかし一方的な婚約破棄騒動で新しい婚約者を迎え入れることは出来ず、味方になってくれる貴族も見当たらない状況。新しい側近などつけることも出来ない。
婚約破棄をした令嬢は国一の魔道具士だったが貴族籍を抜く処罰を与えた後直ぐに行方知れずとなった。
彼女を師とする魔道具士たちは彼女の失踪と共に徐々に姿を消している。
魔道具士の激減により新作の魔道具はおろか、日常から使用している魔道具の修理さえままならない状況となった。
国民の不満は魔道具士を失う事となった原因である王太子へと向いている。
また、元婚約者はフォローに長けており、殿下のマナーなどに不備があっても外交を上手く行っていたが、王太子自身も新しい婚約者もマナーもフォローも外交もまともに出来るだけの力がなかった。
失敗続きの自分にとうとう国王陛下は王位継承権の剥奪を検討していると噂されている。
もし国一の魔道具士を他国に取られないために市井に彼女を隠していたのであれば彼はまだ王太子のままだったかもしれないが、もちろんそんなことはある訳もなく。
逃げ場がない彼はただ悔しそうに拳を握ることしか出来なかった。
そしてさらに数ヶ月後聞こえてきた噂話が彼を苦しめることになった。
自分が切り捨てた幸運はもう戻ってこない。
どうやって届けたのか、平民となった元婚約者からの手紙が執務室の机の上に置いてあった。
奴には魔道具を作ってもらわねばならん。行方不明になってから3ヶ月、怪しさもあるが居所のヒントになるかと急いで手紙を開けたが後悔することになった。
俺の今を永遠に、だと?
新しい婚約者は側近たちを愛人のように扱い、腑抜けた側近は役に立たず仕事は滞る。しかし一方的な婚約破棄騒動で新しい婚約者を迎え入れることは出来ず、味方になってくれる貴族も見当たらない状況。新しい側近などつけることも出来ない。
婚約破棄をした令嬢は国一の魔道具士だったが貴族籍を抜く処罰を与えた後直ぐに行方知れずとなった。
彼女を師とする魔道具士たちは彼女の失踪と共に徐々に姿を消している。
魔道具士の激減により新作の魔道具はおろか、日常から使用している魔道具の修理さえままならない状況となった。
国民の不満は魔道具士を失う事となった原因である王太子へと向いている。
また、元婚約者はフォローに長けており、殿下のマナーなどに不備があっても外交を上手く行っていたが、王太子自身も新しい婚約者もマナーもフォローも外交もまともに出来るだけの力がなかった。
失敗続きの自分にとうとう国王陛下は王位継承権の剥奪を検討していると噂されている。
もし国一の魔道具士を他国に取られないために市井に彼女を隠していたのであれば彼はまだ王太子のままだったかもしれないが、もちろんそんなことはある訳もなく。
逃げ場がない彼はただ悔しそうに拳を握ることしか出来なかった。
そしてさらに数ヶ月後聞こえてきた噂話が彼を苦しめることになった。
自分が切り捨てた幸運はもう戻ってこない。
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