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第137話 火急の知らせ
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ジェイド王は先に首都に戻ることになり、出立の前に病室へやってきた。
「今回の崩落事故に関しては、こちらの失態だ。申し訳なかった」
頭は下げなかったが、ジェイド王が謝罪したことに驚きを隠せない。レオンも想定外のようだった。
「幸い、私どもは皆生きておりますが……多くの鉱山夫が巻き込まれたと聞いております。哀悼の意を評させていただきます」
レオンが真面目な顔で言う。
三十七名死者が出たと聞いた。普段であれば百人単位で死んでいただろうが、国王の視察で労働者の人数を制限し、最低限の稼働にしていたため、これでもかなり少なかったという。
「不敬を承知で意見をさせて頂きますが、安全管理が杜撰です。あれは起きるべくして起きた事故だと思っております。これを機に、運用方法を考え、国内だけでなく国外から専門家を招くことも考えたほうがよろしいかと」
レオンは本当にお人好しだ。そうアドバイスをすると、そんなことは不要だと言うかと思ったが、素直に頷いていた。
「今日の陛下は以前と別人のようですが、何かございましたか?」
私の知るここの王様は恰好の悪い俺様だったが、何というか、今日はまともだ。
「……噂を聞いていないか?」
「噂ですか? ……セラフィナ様とご結婚するとかしないとか」
そう返すと嫌そうな顔をされた。
「お似合いだと思いますが」
どうやったのかは知らないが、有言実行をしたセラフィナには感服する。正直、これくらいのやり手でなければ王妃なんてできない。私の知る王妃様も大変にできる方だ。
「それもあるが、セラフィナはルビアナに現れた救世主や女神のような扱いになりだしている。不吉の石とされていた黒い石の色を変える姿を鉱山労働者が見たと騒ぎ、その後の救助活動の指揮。そして、鉱山にあったいくつもの黒い石が消えていた。それすらセラフィナの力ということになっている」
私の成果とされていなくて、本当によかったというのが本音だが、こちらの王様はそう思っていないらしい。
「生存者の位置をリラが把握したからこそ助けられたことだ。そして、遺体の回収も、それをもとに行っている。セラフィナの願いを聞き、リラが遺体の回収に手を貸したとも報告を聞いている」
「セラフィナ様が、このまま悪感情を持たせるのは両国にとって良くはないと提案されたので。彼女はとても優秀だと思います。裏切り者と呼ばれかねないあの少年も、捜索に一役買った事で恨まれることはないでしょう」
救出活動に名乗りを上げた少年が、私に遺体の回収手伝いをお願いしたという噂を流したらしい。
「だが、意地の悪い身勝手な貴族だと思われたままなのだぞ?」
「ああ、それに関しては、私からもお願いをして、セラフィナ様の陰に隠れるようにしていただきました。決して私の功績を黙って盗んだわけではない事はご承知ください」
セラフィナが卑怯な手を使ったと思われないように言い含めておく。
「わかった……。鉱山の淀みが一時ほぼ消え去っていた。あれは、お前が何かしたからだろう」
「どうも、私の水魔法に触れることでも……レオン様がいますが、話してもよろしいですか?」
機密という約束を交わしている。それを守らなければ相応の賠償をすることになってしまう。
「ああ……。ソレイユ家には、あれについて研究を頼みたいと思っている。ソレイユ家は魔法や魔力の研究所を所有しているとセラフィナから聞いているからな」
許可が出たので話を続ける。
「レオン様を探す際に、私の作った水滴が鉱山内で意図せず増えることがありました。どうも黒い石に当たると増えていたようです。魔力増幅として使われていたと言いますから、その作用でしょうか。その時に、私が触ったのと同じ状況になったのだと思います」
「崩落した場所で、案内の者がその石を柱から取り出そうとしていました。あれは何なのですか?」
レオンが問いかけると、王は言葉に詰まっていた。
「あれは、この国の穢れだ。魔力があるものに作用し、精神に支障をきたさせ、不運を呼ぶ。先代の王妃があれを城に集め始めてから、国に不幸が続いた。王族は代々あれに対する耐性がある。うまく利用して国を動かしていたが、致死量が普通と違うだけで、大量であれば王族でも耐えられなかったようだ」
今のこの国の王を見ると、彼自身、影響を受けないと思っていただけで、影響下にあったのではないかと思ってしまう。
「黒い状態で持って帰りたいですが、危険なもののようなので難しそうですね」
「魔力増幅として使えば、色が濁っていくそうだ。無害な状態で持っていき、色を変えてみればいい。そちらにはリラがいるのだ、問題が起こる前に無害に戻せるだろう」
「わかりました」
今の会話から、少なくとも私が無理やりこちらに嫁がされることはないようだ。
「セラフィナ嬢も色を変えられたとのことですが」
「ああ……言ってもリラの足元にも及ばんがな。それに、川や海に付けて置けば戻るらしい」
「……失礼ですが、一時鉱山の淀みが消えたとおっしゃられていましたが、今は違うので?」
「ああ……随分とマシだが、ここ数日はまた薄く靄がかかり始めている」
「それは、海側からでは?」
レオンの問いかけに首を傾げる。
「なぜ知っている」
国王が警戒した声で問いかけるが、レオンは何か考え込みだした。
「…………これは、仮説です。仮説というものは、後で証明するための立証が必要となります。まったく馬鹿らしい妄想だと結果付けられることもよくありますので、その程度のこととお考えいただきたいのですが」
前置きをして、レオンが続ける。
「過去、マービュリア国とルビアナ国は共同で祭事を行っていたと耳にしています。海で何かを行っていたのでしょうが詳しくは存じません。それは、海に溜まった、その濁りだか淀みだかを綺麗にするためだったのではないでしょうか。実行する一族がマービュリア国に、その程度を確認するのがこちらの王族の役目だったのではと。そして、それが途絶え、海から鉱山へ引きよさせられているのではないかと考えています」
「なぜ鉱山なのだ」
「魔法石は、元より魔力を引き寄せる性質があります。多くの魔力を貯めるには人為的な操作が必要ですが、一定の魔力量は自然と集まってくることが証明されています。炎の魔法石は火にくべれば、使い切っても魔力がいくらかは戻ります。こちらのその黒く変わる石は、淀みと呼ばれる魔力を吸い寄せる性質があるのではないかと」
レオンが淡々と提示する仮説に、王は苦笑いを漏らした。
「穢れの根源は海だったと……」
「実際に計測をして、検証しなければ事実とは言えませんが」
「ふっ……初めから、お前に相談を持ち掛けていれば、あっさりと解決していたのか」
頭を抱え低く呻く。
「レオン様は、そんなに博学だったのですね」
つい言ってしまった。
「これでも、母達に連れられて幼いころから研究施設には行っていました。まだ婚約の段階ではそちらに連れていけませんでしたから、リラ殿が知らないだけで、私は魔力研究畑の人間なのですよ。だから、飛行船の機関部に動力源として呼び出されたりしたんです」
まあ、普通オーナーの息子に火力足りないから寄こせなどという船員はいないだろう。そもそも顔なじみだからこそか。
「……婚姻届けを入れたら、案内しますね」
比較的私に甘いレオンが、婚約段階では入れられないという場だ。どれだけの機密があるのか。
「報酬は出す。ソレイユ家に対して交易での優遇もする。海を正常に戻す方法を、調べて欲しい」
事故では下げなかった頭を、王が下げた。
「成果が出る保証はありませんが、請け負うことは可能です。代わりに、ミモザ……私の妹とその家族、その領地には危害を加えないことをお約束ください。万が一の事態に陥った場合は、妹家族は我々が引き取ります」
「……ああ」
貴族の娘は、家同士の繋がりのために嫁がされ、時に切り捨てられる。だが、レオンは妹に対してそれだけ愛情を持っているのだろう。
王との話し合いをしている中、階段を駆け上がる音がして、誰かがノックする。繋ぎの者が確認をする。
立場上命を狙われても不思議がない面々なので少し警戒するが、入ってきたのは王の従者の一人だった。
「陛下に急ぎお伝えします」
ざっと膝をつき、言葉を待たずに続ける。
「マービュリア国新国王、シーガザヌスが宣戦布告を表明しました」
「何っ」
「既に、進攻しているとの情報が……」
「今回の崩落事故に関しては、こちらの失態だ。申し訳なかった」
頭は下げなかったが、ジェイド王が謝罪したことに驚きを隠せない。レオンも想定外のようだった。
「幸い、私どもは皆生きておりますが……多くの鉱山夫が巻き込まれたと聞いております。哀悼の意を評させていただきます」
レオンが真面目な顔で言う。
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「今日の陛下は以前と別人のようですが、何かございましたか?」
私の知るここの王様は恰好の悪い俺様だったが、何というか、今日はまともだ。
「……噂を聞いていないか?」
「噂ですか? ……セラフィナ様とご結婚するとかしないとか」
そう返すと嫌そうな顔をされた。
「お似合いだと思いますが」
どうやったのかは知らないが、有言実行をしたセラフィナには感服する。正直、これくらいのやり手でなければ王妃なんてできない。私の知る王妃様も大変にできる方だ。
「それもあるが、セラフィナはルビアナに現れた救世主や女神のような扱いになりだしている。不吉の石とされていた黒い石の色を変える姿を鉱山労働者が見たと騒ぎ、その後の救助活動の指揮。そして、鉱山にあったいくつもの黒い石が消えていた。それすらセラフィナの力ということになっている」
私の成果とされていなくて、本当によかったというのが本音だが、こちらの王様はそう思っていないらしい。
「生存者の位置をリラが把握したからこそ助けられたことだ。そして、遺体の回収も、それをもとに行っている。セラフィナの願いを聞き、リラが遺体の回収に手を貸したとも報告を聞いている」
「セラフィナ様が、このまま悪感情を持たせるのは両国にとって良くはないと提案されたので。彼女はとても優秀だと思います。裏切り者と呼ばれかねないあの少年も、捜索に一役買った事で恨まれることはないでしょう」
救出活動に名乗りを上げた少年が、私に遺体の回収手伝いをお願いしたという噂を流したらしい。
「だが、意地の悪い身勝手な貴族だと思われたままなのだぞ?」
「ああ、それに関しては、私からもお願いをして、セラフィナ様の陰に隠れるようにしていただきました。決して私の功績を黙って盗んだわけではない事はご承知ください」
セラフィナが卑怯な手を使ったと思われないように言い含めておく。
「わかった……。鉱山の淀みが一時ほぼ消え去っていた。あれは、お前が何かしたからだろう」
「どうも、私の水魔法に触れることでも……レオン様がいますが、話してもよろしいですか?」
機密という約束を交わしている。それを守らなければ相応の賠償をすることになってしまう。
「ああ……。ソレイユ家には、あれについて研究を頼みたいと思っている。ソレイユ家は魔法や魔力の研究所を所有しているとセラフィナから聞いているからな」
許可が出たので話を続ける。
「レオン様を探す際に、私の作った水滴が鉱山内で意図せず増えることがありました。どうも黒い石に当たると増えていたようです。魔力増幅として使われていたと言いますから、その作用でしょうか。その時に、私が触ったのと同じ状況になったのだと思います」
「崩落した場所で、案内の者がその石を柱から取り出そうとしていました。あれは何なのですか?」
レオンが問いかけると、王は言葉に詰まっていた。
「あれは、この国の穢れだ。魔力があるものに作用し、精神に支障をきたさせ、不運を呼ぶ。先代の王妃があれを城に集め始めてから、国に不幸が続いた。王族は代々あれに対する耐性がある。うまく利用して国を動かしていたが、致死量が普通と違うだけで、大量であれば王族でも耐えられなかったようだ」
今のこの国の王を見ると、彼自身、影響を受けないと思っていただけで、影響下にあったのではないかと思ってしまう。
「黒い状態で持って帰りたいですが、危険なもののようなので難しそうですね」
「魔力増幅として使えば、色が濁っていくそうだ。無害な状態で持っていき、色を変えてみればいい。そちらにはリラがいるのだ、問題が起こる前に無害に戻せるだろう」
「わかりました」
今の会話から、少なくとも私が無理やりこちらに嫁がされることはないようだ。
「セラフィナ嬢も色を変えられたとのことですが」
「ああ……言ってもリラの足元にも及ばんがな。それに、川や海に付けて置けば戻るらしい」
「……失礼ですが、一時鉱山の淀みが消えたとおっしゃられていましたが、今は違うので?」
「ああ……随分とマシだが、ここ数日はまた薄く靄がかかり始めている」
「それは、海側からでは?」
レオンの問いかけに首を傾げる。
「なぜ知っている」
国王が警戒した声で問いかけるが、レオンは何か考え込みだした。
「…………これは、仮説です。仮説というものは、後で証明するための立証が必要となります。まったく馬鹿らしい妄想だと結果付けられることもよくありますので、その程度のこととお考えいただきたいのですが」
前置きをして、レオンが続ける。
「過去、マービュリア国とルビアナ国は共同で祭事を行っていたと耳にしています。海で何かを行っていたのでしょうが詳しくは存じません。それは、海に溜まった、その濁りだか淀みだかを綺麗にするためだったのではないでしょうか。実行する一族がマービュリア国に、その程度を確認するのがこちらの王族の役目だったのではと。そして、それが途絶え、海から鉱山へ引きよさせられているのではないかと考えています」
「なぜ鉱山なのだ」
「魔法石は、元より魔力を引き寄せる性質があります。多くの魔力を貯めるには人為的な操作が必要ですが、一定の魔力量は自然と集まってくることが証明されています。炎の魔法石は火にくべれば、使い切っても魔力がいくらかは戻ります。こちらのその黒く変わる石は、淀みと呼ばれる魔力を吸い寄せる性質があるのではないかと」
レオンが淡々と提示する仮説に、王は苦笑いを漏らした。
「穢れの根源は海だったと……」
「実際に計測をして、検証しなければ事実とは言えませんが」
「ふっ……初めから、お前に相談を持ち掛けていれば、あっさりと解決していたのか」
頭を抱え低く呻く。
「レオン様は、そんなに博学だったのですね」
つい言ってしまった。
「これでも、母達に連れられて幼いころから研究施設には行っていました。まだ婚約の段階ではそちらに連れていけませんでしたから、リラ殿が知らないだけで、私は魔力研究畑の人間なのですよ。だから、飛行船の機関部に動力源として呼び出されたりしたんです」
まあ、普通オーナーの息子に火力足りないから寄こせなどという船員はいないだろう。そもそも顔なじみだからこそか。
「……婚姻届けを入れたら、案内しますね」
比較的私に甘いレオンが、婚約段階では入れられないという場だ。どれだけの機密があるのか。
「報酬は出す。ソレイユ家に対して交易での優遇もする。海を正常に戻す方法を、調べて欲しい」
事故では下げなかった頭を、王が下げた。
「成果が出る保証はありませんが、請け負うことは可能です。代わりに、ミモザ……私の妹とその家族、その領地には危害を加えないことをお約束ください。万が一の事態に陥った場合は、妹家族は我々が引き取ります」
「……ああ」
貴族の娘は、家同士の繋がりのために嫁がされ、時に切り捨てられる。だが、レオンは妹に対してそれだけ愛情を持っているのだろう。
王との話し合いをしている中、階段を駆け上がる音がして、誰かがノックする。繋ぎの者が確認をする。
立場上命を狙われても不思議がない面々なので少し警戒するが、入ってきたのは王の従者の一人だった。
「陛下に急ぎお伝えします」
ざっと膝をつき、言葉を待たずに続ける。
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